預り金勘定のイメージがわかりにくい理由とは?
差し引く、立替える?
「預り金」勘定は計上されていても珍しくない勘定科目ですが、
印象が薄いかもしれません。
損益にダイレクトに影響しないことも印象の一つです。
とはいえ、放っておくと混乱の元です。
ピンとこない勘定 無視しがちでした
会計や簿記が苦手という方は少なくありません。
そうは言っても、損益計算書の売上や経費、利益の並びは
サクサク理解できます。
貸借対照表になると、一歩引かれる印象はあるものの(笑)、
資産(左側)の現金・預金は誤解がありません。
売掛金(資産)や買掛金(負債)になると、ムムッ!?とされますが、
- どちらもツケ
- 売掛金は売上の未回収分
- 買掛金は仕入の未払い分
と言い換えてしまえば納得できます。
ピンとこない勘定科目が「預り金」勘定です。
負債科目ですが、買掛金や借入金のようなインパクトがなく、
見逃しやすい印象です。
私も簿記を学習していた頃、無視しがちでした。
試験の都合上、配点も低いことが多かったからかもしれません。
実務上も損益や税額計算へのダイレクトな影響は多くありませんが、
放ったらかしにはできません。
(預り金勘定 なめるとジャングル)
ピンとこない勘定 差し引くのか、立替えるのか?
「預り金」勘定のわかりにくさは、
- 勘定科目名と経理上の処理のギャップ
- 当事者の目線の違い
といった面に由来します。
たとえば、給料と源泉所得税。
会社にとっても支給する給料は源泉所得税を「差し引いた」金額です。
従業員にとっても「差し引かれた」金額を受け取ります。
複式簿記の仕訳では源泉所得税は「預り金」として計上される対象でも、
「差し引く」や事後の「納付」までは字面からは読み取れません。
あるいは自動車整備業での請求。
車検整備の売上請求ではお客様に自社の売上分だけでなく、
重量税なども請求します。
整備業者がお客様に代わって納付する対象です。
「預り金」という勘定科目がわかりにくいとはいえませんが、
「立替える」という表現とも重なります。
簿記の仕訳では、売上勘定とともに貸方(左側)に計上されますが、
損益計算書の売上と異なり、貸借対照表の負債に計上されます。
「預り金」勘定は字面だけからはわかりにくいわけです。
ピンとこない勘定 不要な勘定科目はありません!
わかりにくい「預り金」勘定ですが、無視できません。
無視すると、源泉所得税の誤納付や売掛金の確認でトラブル要因となります。
預り金勘定を理解したうえで、
- 適切な補助科目を追加する
- タイムリーに計上する
- 月次決算など定期的に確認する
といった実務上の対応をとることがおすすめとなります。
適切に管理すれば、預り金勘定は事業者を通過するお金です。
一方、対応が後手に回ると給料や売上といった損益計算とも
衝突する可能性のある科目です。
会計処理の理解や会計ソフトの運用といった対応の重視が
遠回りですが安全策となります。
実務上、影の薄い勘定科目はあっても、不要な勘定科目はありません。
蛇足
アイキャッチ画像は今春初物の筍ご飯です。
野放図に広がる竹林は嫌われ者ですが、
筍ご飯は文字通り旬の味覚で歓迎です。
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