銀行は決算書と申告書の何をどうみるのか?
誰の目線を優先するか?

お金のやりくりなしには商売は続きません。

金融機関とのおつきあいも長く続きます。

目線を合わせておくことで防げる不安もあります。

ハナミズキ

銀行の目線 その申告書も必要か?

税理士の顧問業務でお客様を定期的に訪問しています。

とくに相談内容もなく淡々とデータや資料の確認のみ
ということばかりではありません(笑)。

毎度何かしらの変化や大小のトラブルがあります。

トラブルとは言っても、当事者間の目線の違いが原因
といったこともあります。

たとえば、銀行から提示を要求される資料。

期中であれば「試算表」が定番です。
 (試算表を要求されて慌ててませんか?)

決算・申告期直後であれば、決算書や申告書の提示となります。

事業の重要なデータなので、事業者目線では安易に見せたくない、
申告書を全てみせるのか?と不安にもなります。

目線を合わせる調整が必要です。

銀行の目線 損益も財産もその他も?

銀行目線では、

  • 融資に対する返済はできるのか?

といった目線が決算書・申告書に注がれます。

決算書・申告書から返済に関するデータを抽出・分析する
という目的があるわけです。

個人事業主であれば白色申告と青色申告の選択ができます。

青色申告でも簡易簿記と複式簿記の選択が可能です。

いずれにせよ損益計算書の作成は必須です。

返済の原資は、「当期純利益+減価償却費」です。

減価償却費は固定資産の取得により発生した経費です。

取得による支出と減価償却費の経費計上ではタイミングがずれます。

損益計算書に計上されている減価償却費分を含めて、
返済の原資ととらえます。

決算書では損益計算書と減価償却費の明細でもある
固定資産の内訳の提示も求められることになります。

貸借対照表には資産と負債が計上されているため、
損益だけではわからない経営状況を把握できます。

所得税の申告書からは下記の読み取りが可能です。

  • 第一表:事業所得以外の所得、税額
  • 第二表:第一表の内訳

事業を含めた返済の可能性を示すデータとなります。

銀行の目線 最優先の目線は?

決算書や申告書は事業規模や内容に関わらず定型的です。

個人事業主であれば青色申告かつ複式簿記であっても
決算書は4ページとシンプルです。

所得税の申告書も定型としては2枚と簡潔です。

決算書や申告書の作成は税務署への提出が義務のため、
作成の目的や評価のとらえ方が偏りがちです。

脱税をしないことや税務調査への対策は必要ですが、
それだけが税務会計の目的ではありません。

銀行に提示することも税務会計処理の成果の一つですが、
全体の成果の一部です。

中心にあるべきは経営者目線での経営の把握です。

決算書・申告書はお金に換算してとらえた経営の実態のはずです。

決算書・申告書には過去の経営状況が反映されています。

過去の経営データを活かすことができるのは経営者です。

税務署や銀行よりもシビアな目線で決算書・申告書をとらえる
といった機会が多くなります。

とはいえ、税務会計処理には会計や税金の仕組みが入り込んでいます。

税理士のサポートを選択する機会もおすすめです。

 

蛇足
経営者は税務会計の専門家ではありません。
税理士との定期的な面談を通じて理解を進めておくと、
決算書や申告書の提示で慌てずに済みます。

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