大人の超入門確定申告Vol.3 消費税
赤字でも納税!?

消費税は導入以前から制度の変更の都度話題になります。

生活に身近な税金なので当然かも知れません。

他方、事業者目線では所得税・法人税以上に悩ましい
といった仕組みの税目です。

難を転する南天

事業者泣かせ 同じ税金の違う話題

消費税は毎年の「税制改正大綱」ではそれほど注目されませんが、
制度の変更時には社会問題としてとりあげられます。

たとえば、消費税の税率引き上げ。

3%から始まった税率は5%、10%と段階的に引き上げられ、
軽減税率8%の導入と複雑化しました。

あるいはインボイス制度の導入。

2023年(令和5年)10月に加わった制度です。

消費者にとっては税率の変更もなく、税負担に影響しないものの、
事業者にとっては大きな変化となりました。

消費税は何かと注目される税金ですが、消費者と事業者の違いで
注目する対象が大きく異なります

事業者泣かせ 赤字でも納税!

スーパーやコンビニで買物をして消費税分を含めて支払っても
消費者が納税をしたというわけではありません。

消費税は「課税事業者」が納税します。

個人事業であれば暦年(1/1-12/31)の事業に関わる消費税の申告・納税を
毎年3月末までに行います。

会社などの法人も法人税と同じく、決算から2か月以内に申告・納税します。

所得税や法人税と会計処理や申告期限は重なりますが、
納税金額の計算は別物です。

所得税や法人税の納税額は以下のとおりです。

  • 売上-経費=利益≒所得
  • 所得✕税率=所得税・法人税

利益がゼロ以下の赤字であれば、税負担は生じません。
 (法人税では均等割といった税額のみとなります)

消費税の計算の基本的な仕組みは以下のとおりです。

  • (受け取った消費税額)-(支払った消費税額)=納税額

経営状態が赤字なら税負担の心配がない所得税・法人税とは
計算の仕組みが異なります。

消費税のインボイス制度は「支払った消費税額」の裏付けとなるので、
事業者にとっては税負担を左右することになります。

取引ごとに消費税の処理を行なうという負擔もあります。

事務と納税の負担軽減策として、売上高が5,000万円以下の事業者には
「簡易課税」制度が選択可能です。

基本的な計算の仕組みの「本則課税」でも、負担減の「簡易課税」でも
事業の損益計算とは別にして納税額が決まります。

事業区分ごとに、売上高を基準として納税額を算出します。

本則課税と簡易課税の違いはあっても、赤字だから納税と無縁
とならない点に留意が必要となります

事業者泣かせ 選択肢の利用も準備次第

申告税は申告・納税がセットです。

申告書の作成にも負擔はありますが、経営状況次第で税負担が少ない
といったことは比較的直感的に想定できます。

消費税は計算の仕組みが損益計算と異なるだけでなく、
本則・簡易課税と選択肢があります。

事業者であっても消費税の納税額が直感的にわかる、
納税の準備ができるとは言えません。

本則・簡易課税は基本的には税務署への届け出を
事業の年初以前に提出する必要があります。

選択の変更には事業の現在の状況を把握しているだけではなく、
近い将来の経営や納税を織り込んだ検討が必要です。

消費税の課税事業にとっては消費税の申告準備だけでなく、
納税資金の準備、選択の変更の検討が課題となります

消費税は独立した税目ですが、申告・納税をめぐっては、
事業の決算や所得税・法人税の申告・納税とも並行して進めます。

消費税は税率変更などの社会問題が注目されやすい税目ですが、
事業者目線では毎年気が抜けない税目となっています。

申告書の作成だけでなく、月ごとの経営管理を含めて、
税理士への依頼・サポートが有効な選択肢になります。

 

蛇足
アイキャッチ画像は散歩中にみかけた南天です。
花でもなく、果実を食べるわけでもない南天ですが、
北陸石川県の鉛色の空の下では目立ちます。

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