大人の勉強と簿記 簿記学習で挫折しないために

大人には大人の学習事情ってもんがあります。


年とともに学習スタイルも変更ありです。

大人の勉強と簿記 イメージや慣れだけでは能動的にはつながらない

簿記の勉強を始める際に必ず聞くフレーズが、「慣れが大切」です。
一通りの学習を進める過程では、定型的な処理を条件反射で処理していく必要もあるので納得もできます。
(九九と同じです)
とはいえ、無味乾燥な反復学習が続くので苦痛です 。
学校での試験勉強のように、半ば強制的に学習する環境下では訓練も続きますが、大人になってからの学習ではやみくもな反復学習は続きません。

慣れは大切なのですが、大人になり色々な仕組みを体験したり、実践している場合では、より抽象的な学習の方が有効にもなります。
ことばを補うと、反復学習だけでは能動的な経理につながらないということです。

大人の勉強と簿記 実務だからこそ抽象概念の理解が必要

簿記の勉強する際に、日商簿記の3級や2級をとっかかりにする方は多いと思います。
会計の処理を細分化して、決算に至るまでを段階的に進める学習は有効といえます。

その一方、いざ実務に適用しようとした場合、学習したはずの知識がどのように運用すべきか適用すべきかで逡巡してしまいます。
知識を運用したり、実践している処理を客観的に検討するためには具体から抽象といった概念的な把握が必要です。

たとえば、引当金を計上する場合では、あくまで限定された条件での費用計上が可能となります。
適用に際しての実務上の経験は無視できませんが、参照すべきは引当金の規定です。

初歩的な簿記の学習では、個別具体的な処理を仕訳で確認はしていきます。
しかし、能動的に判断して行動するためには、処理の内容や効果に至る判断の枠組みとなる基準を知っておく必要があります。
「会計法規集」や「会計監査六法」といった文献が、判断の枠組みという参照に有効となるわけです。
ウェブでも「企業会計原則」と検索すれば参考になる情報が得られます。

見方を変えれば、初歩の学習簿記は辞書を使わない・使わせない外国語の学習に似ています。
自ら判断して、行動するという学習とはズレがあります。

大人の勉強と簿記 試験制度にこだわる必要はない

税理士や会計士、あるいは中小企業診断士などの資格取得を目指すのであれば上記のような文献を参照することは必須とされています。

そうした資格取得希望者とは別に、経理を担当する方を養成する場合には、学生も既に就業されている方も一律に単純な反復学習に終始する傾向があります。
しかし、経理を担当する方にとっては、学習簿記の慣れだけでは経理処理の全体像や意味を理解することが困難になっていきます。

むしろ、基本的な簿記の処理と構造を習得する反復学習を早々に切り上げ、枠組みである会計の原則や基準を確認しておく方が、経理処理をより能動的に行える自力へとつながります。

簿記の習得では、資格試験を利用することが一般的ですが、実践を重視した勉強のやり方という視点もあります。

こちらもご参考に。
(簿記と会計 実務ではの先勉強のゴール設定 簿記の場合)

 

蛇足
私の場合、手を動かす慣れの処理を怠っていたので、簿記の習得には時間がかかりました(笑)。

 

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