総記法の正体
簿記と会計からとらえる

マニアの受験生の方に。

シンプルにわかりやすく

1総記法のわかりにくさ
2総記法 会計からのアプローチ
3総記法 直感と論理の記帳法

総記法のわかりにくさ

簿記で商品売買の記帳法を勉強すると、三分法や分記法とともに総記法もでてきます。
実務上は使わないのですが、税理士試験などでは出題されますし、受験者にとっては鬼門です。

三分法が、売上・仕入・繰越商品という勘定科目を使うのに対して、総記法では商品勘定だけを使います。
さらに、商品勘定に原価と売価を記帳するという特徴があります。

商品勘定だけで記帳するというシンプルさはわかりやすいと言えます。

総記法のわかりにくさは、決算処理に現れます。
商品勘定の借方残高と貸方残高と商品販売益の関係がすっきりしないことです。

総記法 会計からのアプローチ

簿記から離れて、会計から総記法にアプローチしてみます。

売上-売上原価=商品販売益 をスタートとして、売上原価をより詳細にとらえます
売上―(期首商品+当期仕入-期末商品)=商品販売益、ここで左辺を整理します
{売上―(期首商品+当期仕入)}+期末商品=商品販売益・・・(Ⅰ)、となります。

左辺のうち{売上―(期首商品+当期仕入)}が期中取引の商品勘定を構成しています。

さらに期末でⅠの左辺を整理します。
(売上+期末商品)-(期首商品+当期仕入)=商品販売益・・・(Ⅱ)、となります。

簿記のテキストでは、商品勘定のボックス図で整理していますが混乱の根源です。
Ⅰ・Ⅱの式をもとに、情報を整理する方がわかりやすいのです。

期中では、{売上―(期首商品+当期仕入)}の商品勘定が借方残高→商品勘定がマイナス、貸方残高→商品勘定がプラスとなります。

決算整理では、Ⅱからわかるように期末商品を加えれば商品を販売益がでるのです。
借方残高か貸方残高かということより、商品勘定の構成を理解した上で計算すればよいのです。

総記法 直感と論理の記帳法

ボックス図は商品売買の情報を整理する有効な手段です。

しかし、総記法の説明ではかえって混乱の根源となっています。
混乱の原因は、原価と売上を分離していたはずのボックスを融合していたことにあります。

また、Ⅰの期首商品と期末商品を0をすると(模擬店ですね)、
売上―当期仕入=商品販売益、となり、商品勘定だけで記帳すると単純な損益計算を構成することがわかります。

総記法は、会計の論理と損益計算の直感的な理解を考える点で興味深い記帳法です。

苦手な方は参考にしてください。

 

蛇足
第66回の税理士試験第1問はこれでほぼパーフェクトです。

 

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