特定非常災害と相続手続きのリセット
期限と評価の変更が有効になる!

相続は検討にも手続きにも時間を要します。

災害と相続が重なると当事者の心理的な負担が大きくなります。

不安も負担も緩和できる仕組みを知っておくことがおすすめです。

少ない雪でも厳しい寒さの冬

特定非常災害と相続 民法も税法も

「相続」が厄介な問題とされる背景を法律からとらえてみると、
民法と税法(相続税法)での規定があることにも行き当たります。

民法上の課題だけでなく、税金面での検討も必要という点で
相続の取扱いはややこしい問題となります。

一般的に相続の問題は相続人間の閉じた関係で検討します。

例外的に外部の環境が相続問題に影響することがあります。

たとえば、地震や洪水・大雨などの災害。

とりわけ「特定非常災害」指定では通常の相続と異なる
仕組みが必要になります。

特定非常災害と相続 期限と評価の変更

相続の開始以降の課題の一つとして「相続の承認と放棄」があります。

通常は相続開始から3ヶ月以内が「熟慮期間」となっています。

しかし、特定非常災害が発生すると相続の検討状況が一変することもあります。

そこで民法915条で規定されている熟慮期間の延長がとられることになります。

災害発生から最長1年間が熟慮期間となります。

相続を税負担の面からとらえると、財産の「評価」が課題となります。

現預金とは異なり、家や土地の不動産は財産の評価次第で
税負担が大きく変動します。

通常は相続開始時点で財産を評価することになります。

しかし、災害が発生すると評価対象の財産に損害を受けることもあります。

通常の財産評価と異なる措置が必要です。

相続税では特定非常災害に対応した財産評価も用意されています。

通常の財産評価が相続開始時点の時価であることと対比すると、

  • 特定非常災害の発生直後の価額

といった評価の軸があります。

災害による財産の被災を反映した評価により相続税の負担を算出します。

特定非常災害により土地等が海面下に没した場合には、
その土地等の価額は評価しないことにもなります。

相続税の負担についても「災害減免法」による減免もあります。

相続した財産の価格の1/10以上が災害により被害を受けた場合、
災害減免法が適用対象となります。

特定非常災害と相続 検討のリセット

災害、とりわけ特定非常災害では自然環境も財産にも
多大な被害が発生してしまいます。

通常の相続とは異なる検討や対応が必要です。

特定非常災害指定は相続に関連した民法も税法に対しても、
検討をリセットする効果をもちます。

災害が発生すると目前の課題が山積して不安が増します。

特定非常災害指定による相続問題へのリセット効果を知っておくと、
課題の優先順位付けで不安を減らすことができます。

目前の生活を守ることに集中できます。

 

蛇足
2024年(令和6年)1月上旬、私の住んでいる石川県加賀地方は、
例年に比べ雪は少ない状況です。
それでも雪・霙(みぞれ)・霰(あられ)は降っています。
令和6年能登半島地震により避難を余儀なくされている方には
厳しい寒さが続いています。

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