災害発生と消費税を衝突させない!
特定非常災害と消費税の届出の特例
人命の確保が最優先なことは言うまでもありません。
他方、事後的に対応していくことは多々あります。
知っている・わかっていることで不安を減らすことができます。
災害発生後と税金 制度上準備されている措置
日本で生活していると自然災害が避けられません。
毎年豪雨や台風被害に加えて、地震も発生しています。
生活環境が一気に激変してしまうだけでなく、
事業にも大きな支障をきたします。
人命を守った後はお金の不安が強まります。
税金は災害と無関係に申告・納付期限がある印象ですが、
災害に対応した措置は準備されています。
まず、災害全般に対応した措置があります。
たとえば、「災害による申告、納付等の期限延長申請」。
あるいは所得税の確定申告による「雑損控除」や「災害減免法」。
さらに「特定非常災害」の指定に対応した措置もあります。
消費税の「届出」に関する特例です。
災害発生後と税金 特定非常災害と消費税
消費税はザックリとらえればシンプルなはずの仕組みですが、
実態はトラブルの多い税目です。
(消費税は事故体質なトラブルメーカーか!?)
申告書の作成や納付税額をめぐるトラブルは所得税や法人税など
他の税目でも生じます。
消費税では「届出」でのトラブルが目立ちます。
- 消費税の課税事業者を選択するかどうか?
- 簡易課税を選択するかどうか?
上記の選択は事業者の経営状況や計画次第で選択の余地があります。
納税事業にとって有利な選択ができる点で活用したい仕組みです。
一方で、災害により外部からの影響で経営状況が激変すると、
選択した意図とは異なる負担が生じてしまいます。
「特定非常災害に係る消費税の届出等に関する特例(災害特例)」は
消費税の「届出」を対象とした災害対応の措置です。
課税事業の選択や簡易課税の選択を災害発生以降に変更できるようになります。
また、消費税には「新設法人」や「高額特定資産」・「調整対象固定資産」の規定による
事業者免税制度や簡易課税制度の適用制限があります。
「災害特例」では上記の適用制限が解除されます。
いわゆる「2年縛り」・「3年縛り」の解除が可能となります。
災害による事業への負担と消費税の規定による負担の衝突が避けられます。
災害発生後と税金 平時の検討や確認が活かされる
消費税では免税事業者であっても課税事業を選択したり、
簡易課税を選択できても本則課税が選択できます。
経営者の経営計画を反映させた選択ができます。
一方で、災害により経営環境が激変すると事後的な変更も必要です。
「災害特例」はそうした事情に対応した措置です。
届出を行う期間は課税当局が期限の延長を勘案して設けています。
放置はできませんが、時間的な余裕は期待できます。
反面、経営者が消費税の課税・納税状況を把握していないと、
無用な不安が大きくなったり、対応が先送りされたりします。
平時は納税額とその資金繰りに関心が傾きがちですが、
消費税の課税・納税状況の確認も重要となります。
平時の検討や確認は非常事態でも活かされます。
蛇足
災害が発生すると平時とは異なる対応が必要となります。
一方で、平時の仕組み・法律では追いつかない状況があります。
「災害救助法」や「激甚災害」・「特定非常災害」指定は
具体的な支援や手続きのために不可欠なことがわかります。
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■林友範税理士事務所
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