税務申告の事務コストも経営判断の対象です!
税目と納税額だけではわかりません!
コスト意識が大切です!と言って疑われることはありません。
一方で、「コスト」と「税金」が重なると「意識」が遠のく
といったこともありそうです。
申告コスト 坂道発進で冷や汗!?
学生時代に車の免許を取って以来、四半世紀以上車を運転しています。
石川県という地方在住なので車の運転は欠かせませんが、
ほとんどの期間は「オートマ車」の運転です。
免許取得後の一時期は「マニュアル車」を運転していました。
マニュアル車ではギアチェンジの際にクラッチ操作が必要です。
困ったというより冷や汗をかくことがあったのは「坂道発進」でした。
アクセルペダルととクラッチペダルを同時にコントロールしつつ、
坂道発進をするわけですが、
- 操作時にはブレーキペダルを踏めない
- 操作に失敗するとエンストする
と運転が煩わしくなる印象がありました。
同じ道程を同じ時間をかけて車で移動するといっても、
マニュアル車とオートマ車では違いを感じます。
とはいえ、こうした違いはオートマ車限定免許で
運転している方にはピンとこないかもしれません。
申告コスト 同じ税目でも異なる申告の選択肢
車の運転と税金の申告は一見すると共通点がありません。
法人税や相続税の申告は内容や納税額はともかく、
申告処理では選択肢がありません。
一方、所得税や消費税は申告処理で選択肢があります。
たとえば、事業所得での所得税。
決算書は下記の通りに分かれます。
- 白色申告
- 青色申告(簡易簿記)
- 青色申告(複式簿記)
簡易簿記での青色申告はシンプルな処理ですが、
青色申告特別控除が10万円にとどまります。
複式簿記での青色申告は現実には会計ソフトを利用します。
仕組みもカンタンとは言えず、とっつきにくいのですが、
控除は最大65万円となります。
上記の選択は事業者の都合次第での選択となります。
事務処理コストと節税とのバランスで検討する対象です。
申告コスト 課税事業者のコスト
消費税も申告制の税目ですが、一部選択肢があります。
- 本則(原則)課税
- 簡易課税
- 「2割特例」
簡易課税や「2割特例」は売上高を基準に納税額を算出します。
納税負担が本則課税に比べて軽くなることもありますが、
選択の事後的な結果にすぎないとも言えます。
納税額の算出にともなう事務コストの軽減は、
選択したと同時に得られます。
所得税の青色申告での選択は事業者の判断のみで
決定することが出来ます。
他方、消費税での選択は、
- 売上高5,000万円超であれば本則課税
- 本則課税であれば仕入税額控除を要確認
- 仕入税額控除を満たす取引にはインボイス対応が必須
という制約があり、
- 取引先がインボイス対応をしているか?を確認
- インボイス対応ごとの課税区分で処理する
といった事務コストがともないます。
税目や納税額だけではわからない事務コストの違いは
インボイス制度の開始で明らかになります。
インボイス制度の開始では免税事業者の税負担も課題ですが、
課税事業者、とりわけ本則課税での事務コストも課題となります。
消費税の課税事業者といってもコスト意識は一致しない
といった面がインボイス制度で強まります。
蛇足
マニュアル車の運転は一般にはマイナーです。
マニュアル操作というと事業用車両の印象かもしれません。
自動運転が当たり前のように利用されようになると、
「運転」操作が事業用と結びつくようになるかもしれませんね。
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