消費税申告だけの顧問契約はアリか?
単発の相談との違いとは?
サービスの細分化・専門特化はアリですね。
問題は細分化や特化のアプローチともつながります。
消費税だけ 相談だけはアリ
税理士の代表的な業務に税務相談があります。
- これって経費になるの?
- これ医療費控除になりますよね?
といった定番の相談もあれば、
- 相続財産の評価と課税の検討
といった個別性の高い相談まで多種多様です。
とはいえ、相談業務は問題といった「的」を絞り込み
検討・回答していくことになります。
2023年(令和5年)10月1日から開始される消費税インボイス制度も
そうした相談対象の一つです。
- インボイスって何?
- インボイス登録が必要か?
- インボイス登録をした後の負担額は? etc
どの問題も当事者にとっては無視できない対象であり、
私も個別に応答している内容です。
消費税だけ 税務申告への誤解
税務相談は単発・ピンポイントでも成立します。
一方で、税務申告となると同一には扱えない事情があります。
たとえば、所得税・法人税と消費税。
それぞれ裏付けとなる法律は異なり、申告書も別に存在します。
ただし、現実の税務申告で所得税・法人税と消費税を分ける、
別々に処理を進めることは例外です。
所得税・法人税と消費税はセットで処理を進める選択がメジャーです。
まず、処理の効率性が理由となります。
所得税(事業所得)も法人税も記帳による経理処理を前提に
申告書の作成という流れです。
- 記帳(経理処理) → 申告書作成
消費税の納税額の計算は「本則」・「簡易」・「2割特例」と分かれますが、
- 基礎データの設定や集計は記帳と並行する
といった共通点があります。
会計ソフトに入力する「仕訳」のデータに消費税分も加えるだけなので、
無理のない処理となります。
消費税だけ 申告だけが問題か?
消費税の税務申告で課題となる対象は申告書の作成だけではありません。
申告とセットになる「納税」も課題です。
事業が赤字であれば所得税・法人税の税負担はありませんが、
消費税は別に負担があります。
資金繰りを含めた事業のお金の管理が必要です。
消費税だけに「的」を絞るとバランスを損ないます。
さらに「簡易」課税や「2割特例」は事業者が有利な選択をとれますが、
消費税だけでなく事業全体や動向と関連した判断となります。
「的」を絞った税務相談とは異なり、事業の動向と関連する消費税申告は
それだけをターゲットとした顧問契約とはかみ合わせが悪い面があります。
反面、消費税申告も含めた経理・所得税・法人税を対象とした顧問契約は、
- 効率性
- 事業全体との関連性
という面からのアプローチが行えるメリットがあります。
税務サービスの細分化・専門特化と顧問契約は矛盾しません。
契約以前の誤解や認識の違いが期待と矛盾する原因になります。
税務相談から顧問契約につながることはありますが、
サービスの範囲の確認が必要となります。
蛇足
アイキャッチ画像は稲刈り後に見かけた光景です。
稲わらを束にして乾燥していたようでした。
気温が真夏と変わりませんが、秋の光景ですね。
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