「マイナス残高(笑)」のどこが「(笑)」なのか? 簿記の仕組みと表示の事情
対話不能で不毛な状態からの脱却には、
ちょっとした知識が有効です。
マイナス残高 新時代の成果?
経理処理の歴史をたどると、時代ごとに新技術が導入された
ということがわかります。
- そろばんから電卓へ
- 電卓からオフコン会計へ
- オフコン会計からパソコン会計へ
- パソコン会計からクラウド会計へ
私は上記の流れではパソコン会計以降からしか知りません。
そろばんを検算に使っていた税理士は存じていますが、
「オフコン」といった会計専用のコンピューターとは無縁です。
現状は、パソコン会計(パソコン+会計ソフト)と
クラウド会計(インターネット上のアプリ)の併用です。
新技術が導入されるごとに処理が効率化される一方で、
新たなトラブルや誤解も出ています。
その一つが「マイナス残高」です。
税務会計の専門家スジでは「マイナス残高(笑)」と
困りものとしてとりあげられたりします。
問題はマイナス残高が発生したということよりも
- 違和感を覚えない
- 放置状態
といった方との認識の差があることです。
マイナス残高 簿記の計算と表示
簿記の仕組みは、
- 借方(かりかた)・貸方(かしかた)
- 仕訳(しわけ)
- 資産・負債・純資産・収益・費用
- フローとストック
といったとっつきにくい仕組みで構成されています。
複雑でわかりにくい計算のようですが、反面では
- 「√(ルート)」
- 複素数
といった数学どころか、算数で登場する小数や分数すら
表示でみることはありません。
複雑とはいっても、お金の処理だから当然じゃない?
という反応がありそうです。
そういった考え方があるので「マイナス残高」の放置状態は
かえって目立ちます。
簿記でもマイナスの表示は皆無ではありません。
たとえば、赤字での「△」。
あるいは「評価勘定」といった資産勘定のマイナス額を
表示する勘定科目があります。
- 売掛金に対する貸倒引当金
- 固定資産に対する減価償却累計額
上記の売掛金の場合であっても、
- 売掛金 - 貸倒引当金 < 0
といったマイナス残高はありません。
クラウド会計やAIを導入したことによる影響が
マイナス残高に現れているわけではありません。
会計処理の判断基準に立ち返る必要があります。
マイナス残高 簿記=集計のみではありません
売掛金がプラスとして計上されるのは、
- 売上発生時
- (借方)売掛金 / (貸方)売上
という状況によります。
売掛金がマイナスとして処理されるのは以下の通りです。
- 入金時
- (借方)お金 / (貸方)売掛金
売掛金の残高は売上の請求金額です。
売掛金がマイナス残高となっているのであるならば、
違和感をもつべきです。
売掛金がマイナス残高になる原因は以下のケースが
想定されます。
- 売上発生時の計上漏れ
- 入力ミス
- 前受金との混同
- 取引先が過大に入金
売上の取引先は複数あり、金額もバラバラといった状況が
一般的です。
定期的な処理の確認が必要になります。
技術の導入による経理処理の効率化も会計上の判断
といった裏付けが欠かせません。
簿記の処理を集計だけと誤解していると、
出力された結果に違和感をもてなくなります。
マイナス残高には、違和感を覚えることと
早期のリカバリー処理が必要です。
蛇足
「(笑)」という表記は大戦前からあるようです。
SNSでは「www」もよくみられます。
含み笑いなら「ff(エフエフ)」や「kkk(ケケケ)」もありでしょうか?
Ψ(`∀´)Ψ
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