専門用語はとりあえず唱えてください!
消費税2割特例と簡易課税を混同!?
大人の学習は理解を優先しましょう!、という見解は正論です。
「理解」が「慣れ」や「丸暗記」を否定しているわけではありません。
「事後的な理解」にも欠かせない前提があります。
専門用語は唱える 消費税申告の珍問答?
税理士にとって税務相談は定番業務です。
とはいえ、いつ何時でもスムーズに応対できるかと問われると、
歯切れが悪くなります。
相談の内容も応対状況を左右しますが、相談者の知識や理解
といった要素からも影響を受けます。
たとえば、消費税の確定申告。
2023年(令和5年)10月から消費税インボイス制度が始まりました。
新たに課税事業者になった方にとって、2024年(令和6年)の申告期は
初の消費税申告を迎えることになりました。
税務相談でも消費税の相談が増えました。
ちょっとした珍問答にいたった相談もあります。
相談者 「あの消費税の2割ナントカで申告します」
私 「簡易課税での申告書のようですが?」
相談者 「2割ナントカもカンイも税金安くなるんですよね?」
事故が重なる前に交通整理が必要と判断しました(笑)。
専門用語は唱える 処理の整理と事故を回避!
「免税事業者」がインボイス対応で課税事業者となった場合、
「2割特例」での申告が可能です。
課税売上高の約2%での納税負担となる選択肢です。
他方、「簡易課税」で「第2種事業区分」という選択肢もあります。
「2割特例」と「第2種事業区分」は、
- 「本則課税」以外の選択肢であり、
- 経理処理と納税負担の軽減が期待できる、
- 課税事業者に有利な選択肢になりうる
といった共通点があります。
一方で、「簡易課税」の「第2種事業区分」を選択するには、
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること
といった前提があります。
上記の相談者は「届出書」を提出していなかっただけでなく、
「第3種事業区分」の製造業者でもありました。
専門用語は唱える 事後的な理解の土台を作る!
税務会計は簡潔に示されている内容であっても専門用語の連続です。
ちょっとした文言の違いが全く別の仕組みだったりします。
「2割特例」も「第2種事業区分」もなんとなく似ていますが、
うっかりでも取り違えると税負担を間違えてしまいます。
専門用語を過剰に使う必要はありません。
他方、仕組みの理解だけを重視すると判断の根拠を誤解したり、
税理士や税務署とのコミュニケーションがとりづらくなります。
専門用語はとりあえず唱えて慣れておく!、がおすすめです。
関連する知識や理解を含めて事後的に理解できる土台になります。
専門用語に振り回されると誤解や混乱が生じます。
何度か専門用語を唱えておくことで扱う課題の焦点がハッキリします。
蛇足
アイキャッチ画像は散歩中に撮影した土筆です。
2024年(令和6年)3月上旬の石川県は天候不順でした。
土筆は栽培されているわけでもないのですが、
例年通り伸び盛りを迎えているようです。
蛇足2
本文での相談事例ではさらに混乱が続きました。
相談者 「カンイでの申告だめなんですか?」
私 「2割特例での申告となります」
相談者 「シュウセイシンコクですねッ!」
私 「申告期限前なので修正申告ではなく訂正申告ですね」
小うるさい指摘ともいえますが、誤解を避けることが優先です。
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