税理士試験勉強 先をみるための準備

先が見えにくいときこその地力です。

どんなときでも満開に。

税理士試験勉強 実務になったとたん

税理士試験に合格後に通信会社から会計事務所に転職しました。
それ以前にも短期間会計事務所で勤務したことはあったのですが、数年間のブランクもあり不安が大きかった記憶があります。

いざ実務に携わってみると、普段の勘の悪さを裏切る予想通りの試行錯誤が始まりました(笑)。
といいつつ、徐々に仕事に慣れていくのですが、もやもやした想いは逆に強くもなりました。

その一つが(他にも多々ありますが)、試験で勉強した内容と実際に携わる内容とのズレでした。
たとえば、リース取引は試験ではリース資産や負債を計上する方法が前提です。
しかし、大半の事業活動の会計処理は賃借処理(レンタカーを借りるイメージです)です。

税理士試験が合格者を選別するための競争試験であり、多少実務と関わりのない論点があっても仕方ないとは思います。
が、リース取引のようなメジャーな取引でさえ勉強した内容と実務上の取扱いが異なると、もやもやというよりフラストレーションになりました。

税理士試験勉強 畑村教授の見識

10年以上前ですが、製品事故の調査に従事したことがあります。
(転職回数には自信があります(笑) → 税理士登録での留意書類)
エンジニアでもなかったので、いろいろ文献を読んでいました。
その中の一冊に「失敗学のすすめ(畑村洋太郎、講談社、2000年、現在は講談社文庫2005年)」がありました。

畑村教授は東京電力福島第一原発事故の元政府事故調委員長です。
(2019年NHKのドラマ「ミス・ジコチョー(松雪泰子主演)」の監修も担当)

会計に関わる興味深い記述があったので引用します。

これ(注:失敗を忌み嫌い、真正面から取り組んでこなかった組織運営)を防ぐには、いくら口先で注意しよう、努力しようといったところでほとんど意味がありません。そうではなくて見えにくい失敗を顕在化させる経済システムがたいへん有効だと私は考えています。(略)そのためにはたとえば、企業のバランスシートの負債の項目に「潜在失敗」というものを加えてはどうかと思っています。
企業の業績を示すバランスシートでは、含み損、含み益をすべて表すやり方がいまは国際標準になっています。日本では、直接目に見えない損失や利益を隠すやり方でOKとされていますが、将来的には国際標準に合わせた表記にあらためていくことがもとめられています。その新たなバランスシートの負債の項目に、「潜在失敗」を加えて会計処理を行ってみてはどうかというのが、私の提案です。
「潜在失敗」とは、万一、失敗が生じたときの損害の程度を予測し、この総額に失敗の発生確率を乗じて、含み損を示していこうというものです。その考え方のベースにあるのは、リスク回避のための保険の発想と、時価評価の考え方です。
(第六章 失敗を立体的にとらえる p178)

畑村教授は工学の専門家であって、会計の専門家や研究者ではありません。
上記の引用では、引当金に近い考え方もありますが、厳密には異なる発想です。

税理士試験勉強 先をみるために

畑村教授の提言は、雪印乳業やJOCの臨界事故後になされたものです。
出版後の東日本大震災による原発事故、その補償をめぐる問題が発生したことを考えると提言が活かされたとは言えません。

畑村教授の提言と私の転職後のフラストレーションでは、想定する視野で大きな隔たりはあります。

しかし、現状の追認だけでは将来のトラブルをとらえきれないのではないかという問題意識は共通していると思います。

畑村教授は、失敗学の知見から「潜在失敗」という提言をされました。

一般の専門家は畑村教授ほどクリエイティブではないかもしれません。
その一方で、今は処理の都合上表面にでていない将来の状況も、既存の知見や見解をもとに提示できる可能性があります。

税理士試験の受験勉強はそのための準備や訓練だったと言えます。

 

蛇足
失敗学のケーススタディは、私家版だけでもけっこうな量になります。

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