遺言書の残し方 保管制度もあり

有名な書類ですが、関わるのは稀(まれ)です。


いろんな点で残念。

遺言書の残し方 3種類

高齢社会・多死社会・相続税増税・終活とくると、サスペンスのにおいもただよってきます(笑)。
サスペンスにつきものなのは、「遺言書」です。
「犬神家の一族」を筆頭に相続での重要な書類です。

遺言書の残し方には、3種類あります。
遺言書を残す場合には遺言書の内容だけでなく、どのような形式で残すかも重要になります。
遺言書の不備や残し方の選択によっては、トラブルも生じかねません。

3つの残し方と特徴は以下の通りです。

1自筆証書遺言
・遺言を残す人が自筆で作成
・メリット:ローコスト、証人不要、秘密保持
・デメリット:紛失・存在自体不明の可能性・改ざんの可能性、書式不備で無効、死後家庭裁判所の検認が必要

2公正証書遺言
・遺言を残す人が公証人役場で公証人に作成してもらう
(公証人は、ドラマでは渡瀬恒彦(故人)が印象に残っているかもしれません)
・メリット:紛失・改ざんの可能性が無い、家庭裁判所の検認不要
・デメリット:公証人への手数料、証人(相続人×)2人の立ち合いも必要、公証人と証人に遺言内容を示すことになる

3秘密証書遺言
・遺言を残す人が作成して封印したうえで、公証人と証人2人が立ち会う
・メリット:存在が明白、改ざんの可能性が無い、パソコンの仕様も可能、秘密保持
・デメリット:公証人・証人の立ち合いが必要、死後家庭裁判所の検認が必要

いずれの残し方にもメリットとデメリットがあるわけです。

遺言書の残し方 法務局での保管もスタート

遺言書を残す側から期待したいのは、以下の要素です。
・秘密保持
・紛失や改ざんの防止
・形式不備での無効

言い換えると、自筆証書遺言でのデメリットをフォローしたいともいえます。

2020年(令和2年)7月10日から「自筆証書遺言保管制度」が開始されます。
自筆で作成した遺言書を法務局が預かる制度です。
(公証人役場ではありません。法務局は主に登記を取り扱う役所です。)

手数料がかかりますが(3,900円)、自筆証書遺言でありがちなトラブルを回避できる制度です。

自筆証書遺言だから法務局に預けなければならないわけではありません。
自筆証書遺言の残し方の選択肢に、法務局での保管が加わったということです。

遺言書の残し方 残し方は形式問題

遺言を残す立場からみると、遺言の残し方の選択肢が増えたことはプラスの印象です。

とはいえ、残し方はあくまで遺言書の有効性を形式面から支える見方です。
法務局で不備の無い自筆証書遺言の保管をしても、公証人や証人が立ち会う形式の遺言を作成しても、遺言の内容・影響は別問題です。
法務局の職員や公証人は、遺言や相続のコンサルタントではありません。

遺言を期待通りにするには、準備期間や専門家の利用も必要です。

 

蛇足
遺言=トラブルの発生源という印象は、「犬神家の一族」の影響が大きいでしょうね。
「犬神家の一族」では遺言書の形式についての考察(疑義)は無かったようです。

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