「みんなやっている」は税金対策になりません!
「赤信号みんなで渡れば怖くない」を真に受けると、
事故に遭います。
税金対策だからといっても難解なことばかりではありません。
みんなやっている 「免税」はバラ色か?
冬になり確定申告が話題に出始めると、
- 節税
- 税負担の軽減
といったことばへの感度も高まります。
損をしたくないという気持ちは誰にでもあるので、
関心が集まるのは当然です。
そうしたなかで、「免税」は別格の印象を受ける対象です
- 合法的に所得税ゼロ!
たとえば、肉用牛売却所得の免税制度。
マニアックな対象です(笑)。
かつて、私の実家の両親が酪農を営んでいた頃、
- 牛を売っても税金がかからない!
といったことを父が言っており驚いたことがあります。
上記の対象の免税となる牛は酪農家だった実家の場合、
- ホルスタインが受精卵移植で産んだ和牛
が対象でした。
(「ホルスタイン×和牛」では「交雑牛(F1)」で対象外です)
随分な優遇制度があるな、という印象でした。
近隣の酪農家も軒並み免税制度の利用を行っている
ということも無理がない印象でした。
問題は数年後に発生しました。
修正申告です(笑)。
申告・納税する税金が不足していた、ということでした。
免税制度が変わったわけではありません。
免税制度の要件を満たしていないことが判明した
ということの結果でした。
みんなやっている 裏をとるというツッコミ
肉用牛売却所得の免税制度は「租税特別措置法25条」が根拠です。
上記の下線部でも「売却により生じた事業所得に対する所得税を免除する」
という文言が確認できます。
とはいえ、「特例」は限定的なルールです。
肉用牛の売却所得だからといって無制限に免税とはなりません。
- 取引する市場
- 対象となる肉用牛
に対する規定があります。
そうした点は税金の問題ではあるものの、国税庁だけではなく、
農林水産省からも通知で示されています。
上記の通知にアクセスしてみると見逃せない内容がありました。
!!!???(笑)。
肉用牛売却所得の免税制度は酪農家なら利用できるわけではなく、
- 飼料作物なども栽培している場合に適用できる
と入口がしっかり制限されています。
私の実家では、往時とは異なり自給飼料は栽培していませんでした。
修正申告に至る理由が明白だったわけです。
裏付けをとっていれば、捕らぬ狸の皮算用はおろか
修正申告でやきもきすることはなかったといえます。
みんなやっている 自信の作り方
肉用牛売却所得の免税制度の顛末を傍からみると、
- 初歩的な誤認
- 制度の無理解
- 書類の処理など枝葉末節に注目しがち
といった残念な点が指摘できます。
何よりも、
- 「みんなやっている」は判断基準にならない!
ということがわかります。
「みんなやっている」は曖昧に強気な根拠となりがちですが、
- 裏付けが示せず
- 根拠を確認していない
という点で張り子の虎です。
税金の全てのルールに熟知することは不可能です。
だからこそ、「節税」や「軽減」や「免税!」といった利用には
根拠や裏付けを確認しておく必要があります。
税金の問題や負担では
- 「みんなやっている」=一旦停止、要確認
が税金トラブルの予防になります。
ちょっとした留意と確認が根拠のある自信につながります。
蛇足
私が子供の頃、実家では飼料を栽培していました。
ねだって飼料用のトウモロコシを食べた記憶があります。
「スイートコーン」とは無縁の味だった記憶があります(笑)。
蛇足2
肉用牛免税「スキーム」は実家では挫折していました。
とはいえ、税負担を考慮しても割に合うという判断から
肉用牛子牛の出荷は続けていました。
<ご案内>
■林友範税理士事務所
■災害と税金の情報
■確定申告のご依頼も受付中!