1年分の確定申告を依頼するのに、
どうして過去分まで確認するのか?
疑問や違和感は不信やあらぬ疑いに化ける前に
解消しておきたいところです。
とっかかりが肝心です。
今年分と過去分 とっかかりの驚き
私が税理士業界に入って間もない頃のお話です。
税理士事務所に勤務して数ヶ月が経った後で、
上司・先輩に同行して顧問先に行くことが始まります。
当初は何を、どうすればいいのか緊張していました。
顧問先への自己紹介を手短に済ませた後、
定例の業務が始まりました。
上司の顧問先への第一声が、
- 「そんじゃ通帳からお願いします」
だったことを鮮明に覚えています。
会社、法人とはいえ他人様の通帳を
- 資料の一つとして
- あっけらかんと(笑)
顧問先に要求して、緊張がさらに高まりました(笑)。
通帳というプライバシーとアンタッチャブルな存在を
サクッと要求してしまうことにドキッとしたわけです。
顧問先の社長さんが普段通りの対応といった様子で
通帳を渡されたので、緊張が解けました。
簿記を座学で勉強していても、経験できないやりとりでした。
お金の入出金の重要データとしての通帳を要求する
税務会計サービスの特徴をみた記憶です。
立場を変えてみると、
- 税理士から要求される資料への違和感
といったこともありそうです。
たとえば、過年度分の決算書・申告書。
今年分と過去分 比較→検証のブラッシュアップ
個人でも法人でも決算・申告のご依頼をいただいたときに、
- 過年度分の決算書・申告書
もご提出していただくようお願いしています。
これまで税理士に依頼をしたことがない方の場合、
首をかしげられる方が多い印象です。
- 何を探っているのか?
と不安気な表情をされる方も少なくありません。
所得税でも法人税でも、基本的に決算・申告は当年分、
1年分を取り扱います。
一方、税金の処理とは別に経営は絶え間なく続いています。
言い換えると、経営をあらわしているハズの経理、
成果としての決算書・申告書にもつながりがあります。
さらに突っ込むと、
- 過年度と無関係の当年度という発想はありません
と言えます。
また、過去の決算書・申告書を確認しつつ当年の処理を行うことで、
- コミュニケーションギャップを解消する
といった効果もあります。
お客様側で想定している結果と税理士側の処理との間に
違和感が生じる可能性があります。
違和感を検証して、誤解の無い成果にブラッシュアップするために、
比較・検討対象としての過去の決算書・申告書が有効になります。
今年分と過去分 違和感をもてますか?
決算・申告の成果を残念な結果としないための手段として、
過年度との比較・検証が有効です。
税理士に依頼する側という視点に立つと、比較・検証には、
- 過去の経営や申告状況を把握している
という前提があるとも言えます。
税理士に依頼する前に不安になるかもしれません。
不安をあっという間に解決できるわけではありませんが、
- 決算書や申告書を並べて、
- 金額の大きさや推移・変化を
確認してみることがおすすめです。
手元で把握できるはずのデータがアタマに入っていないと、
一方的なやりとりになり、不信感が強まります。
「わからないことがわからない」といった状態もありますが、
それでも過年度分を振り返ることをおすすめします。
違和感や疑問があれば、質問→解消にもつながります。
蛇足
通帳・決算書・申告書は誰もが知っている書類・データです。
その一方で、仕事とはいえ、税理士の扱っている書類・データは
物騒な印象があります。
税理士は「危険税務会計データ取扱責任者」ともいえそうです。
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