一年の計は元旦じゃない 未決算だから無理ゲー 年末がスタート!

気が早いですかね?

一年の計は元旦じゃない 元旦の悩み

長年の悩みがありました。

「一年の計は元旦にあり」というフレーズと、どうにも折り合いがつきません。

いかにももっともらしいフレーズです。
このフレーズを実現できないことが、その年の失敗を想起させるかのような印象すらあります。

年末の忙(せわ)しなさがようやく大晦日で落ち着き、新年をゆるーく迎えたいのが人情です。
元旦に計(画)を難しい顔をして立てている方がどれほどいるのか疑問です。

その一方で、一年という時間を無駄にしたくはありません。

お正月を過ぎてから、ようやく計画を立てて実行では出遅れ感があります。

「一年の計は元旦にあり」というフレーズを会計的にとらえることで、すっきりした折り合いをつけることにします。

一年の計は元旦じゃない 会計ではゴール=スタート

会計では、複式簿記や減価償却といった計算技術があります。

そうした計算のなかでも、損益計算に欠かせないのが売上原価の確定です。
売上に最もダイレクトに対応した費用ですから、未確定では済みません。
(売上原価の姿 なぜ簿記ではみえない)

売上原価は、年間の仕入と年の始め(期首)と終わり(期末)の在庫(商品)から計算できます。
売上原価=期首商品+仕入-期末商品

費用というとレシートや領収書の足し算から計算されるイメージが強いものですが、売上原価では引き算が必要です。
(費用はアートっぽい)

注目したいのは、期末商品です。
「期末」は対応する売上を基準にした年の年末です。

つまり、「期末」は翌年の「期首」でもあるわけです。

一年の計は元旦じゃない 無理ゲーなのは未決算だから

「一年の計は元旦にあり」のフレーズが、無理ゲーっぽく思えてきたのも人情だけの問題ではありません。
(「無理ゲー」は条件設定が過酷すぎてクリアできないゲームから、達成困難のたとえです)

元旦を迎えたからといって、自動的に前年分の振り返りや様相がわかるわけではありません。

計画を立てるには、将来の目標だけでなく、過去との比較が欠かせません。

「一年の計は元旦にあり」といったところで、把握できている状況が曖昧では、ただの願望を夢想するだけです。

元旦は、期首です。

計画を立てるのではなく、実行のスタートのはずです。

カチッとした本決算は元旦以降でも、仮決算や年間の着地見込みは年内に見通せます。

年内を未決算のままスルーしていくと、元旦早々出遅れます。

一年の計は元旦ではなく、年末にありです。

 

蛇足
有名なフレーズが「無理ゲー」というフレーズとつながるとは、我ながら予想外。

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