税制は本編より予告編が盛り上がる!?
令和5年度与党税制改正大綱発表
「お祭り」と「炎上」の違いって何だろうか?
と考えるときがあります。
改正大綱への反応の違いで利害関係や立ち位置が
客観的にわかることもあります。
本編より予告 クライマックス!?
観に行く機会は減っているものの映画が好きです。
映画本編の上映前の近日公開予定の作品の予告編は
ちょっと煩わしいものの淡い期待をもって観ていたりします。
予告編が本編の宣伝用である限り、力んで観ることはありません。
毎年12月に与党が公表する「税制改正大綱」との違いを感じます。
税制改正を巡っては、予告編ともいえる税制改正大綱が
クライマックスの印象さえあります。
本編ともいえる翌年1月以降の国会での成立が
ネタバレ後の上映にあたるためとも言えます。
本編より予告 読める!?、読めない!?
注目や関心が集まる税制改正大綱(以下「大綱」)ですが、
- 読める or 読めない
といった反応の違いがはっきりします。
「大綱」はウェブで公開されています。
(「税制改正大綱 与党」で検索してみてください)
表紙は毎年の定番です。
目次も若干の違いはあるものの、例年と大差ありません。
「大綱」は図表やイラストも無く、殺風景な形式です。
関心の無い方にとっては毎年同じ内容にみえそうです。
もちろん誤解です。
「大綱」で言及される内容は利害関係のある方にとっては、
今後の動向を左右する内容です。
たとえば、NISA。
「大綱」では冒頭よりNISAの改正に強く言及しています。
NISA制度が抜本的・恒久化へと改正されるだけでなく、
利用対象者が幅広いことで関心も集まります。
殺風景な「大綱」では読みにくいと感じる場合でも、
わかりやすい解説が期待できそうです。
その一方で、「大綱」末尾の「付記」に掲げられた内容は
- ???
かもしれません。
私は税理士ですが、上記については他人事の印象です。
他人事という印象がある、利害関係のつながりに乏しい税制改正は
「大綱」に言及される経緯や影響が想定できていません。
税理士であっても字面以上に「大綱」が読めるとは言い切れません。
(裏を返せば読める税理士には読めるわけです)
「大綱」を流し読みすると、自分の関心や理解が反応する箇所がわかります。
本編より予告 関心が薄くても進んでいく現状
「大綱」では「車体課税」として自動車に係る税金もとりあげています。
産業としても、生活手段としても自動車の存在は大きいのですが、
- 申告納税制度ではない
- 都市と地方での所有割合が異なる
という点で所得税などより注目度は低くなります。
とはいえ、税制改正は進んでいきます。
NISA制度の改正は注目度は高いものの、
所得税制度の一端にすぎないとも言えます。
所得概念や所得区分、課税標準は変わりません。
一方、車体課税は今後のBEVの販売や普及次第といった影響で
制度の見直しもあるかもしれません。
「大綱」を眺めてみると、
- 関心が薄くても将来に向けて変わっていく
という現状がみえてきます。
将来の予告編として「大綱」を眺めることがおすすめです。
蛇足
「大綱」では以下の言及もありました。
定番の問題ともいえますが、税務相談相手の選択には留意していただきたい問題です。
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