申告書をみても痛みを感じない理由 サラリーマンだからだけじゃない

一般論からもう一歩先へ。

サラリーマンだから申告書をみても痛みを感じないのか!?

「日本人は、○○だからダメなんだ!」とはよくある物言いです。

○○は時代によりテーマが異なります。
20世紀だったら、○○は「働きすぎ」が当てはまると思われていました。
2020年(令和2年)では、「生産効率が悪い」や「同調圧力に弱い」かもしれません。

さて、税金でもこうした物言いが続いています。

とりあげられるテーマは税金、とくに個人の所得税です。

定番フレーズは、
「日本人は、源泉徴収と年末調整で税負担意識が薄くなっているからダメなんだ」
というものです。
(付随して、「アメリカ人は・・・(そうじゃない)」と続きます(笑))

なんとなくスジは通っていそうです。

ただし気に入らない(笑)。

個人でどうしようもない制度批判を個人に向けられても、単なる嫌がらせです。

もうちょっと建設的にとらえましょう。

痛みの正体は自動的にわからない

上記のフレーズを確認します。
「日本人は、源泉徴収と年末調整で税負担意識が薄くなっているからダメなんだ」

サラリーマン(性別はフリー)は給料から税金(や社会保険料)を天引きされます。
これが源泉徴収。
雇用主が納付を行っています。

年末調整は、概算で徴収した税金の精算です。
確定申告の簡易版といえます。
処理するのは雇用主。

こうしてみると、サラリーマンの税金や社会保険料の処理は丸投げ状態です。

税金だけでなく社会保険料の負担もピンとこないわけです。

とはいえ、源泉徴収+年末調整はほぼ強制的な制度です。

個人の判断だけで処理は変えにくいかもしれません。

では、現状を前提にしていると税金や社会保険料の負担意識、痛みには鈍感なままか?

答えは、NO!

ただし、痛みの実態は自動的に浮き上がってはきません。

お金の負担という痛みは、意識ではなく記録と集計からわかります。

サラリーマンじゃなきゃ痛みに気付くのか?

サラリーマンには、「決算」がありません。

決算!?

決算は事業活動だけを前提にした処理ではありません。

決算は、お金のやりとりを記録して集計した結果をだすことでわかる内容です。

個人の生活では、経営成績や財政状態といわれても縁が無さそうな印象です。

その一方で、お金の収支である入出金は把握できます。

税金や社会保険料の負担だけをとりあげるより、生活全体の収支が気になるはずです。

一般に、サラリーマンは収入は把握しやすいはずです。

それとは逆に、支出は・・・、
パッと答えられないかもしれません。

源泉徴収+年末調整の仕組みがあろうがなかろうが、痛みには気付けます。

個人のお金の記録や集計、つまり家計がわかっていれば気付けるわけです。

さらに突っ込むと、
ではフリーランス・個人事業主はお金の負担の痛みに気付いているのか?

サラリーマンが税金や社会保険料の負担の処理を丸投げできるのは、制度上の理由です。

フリーランス・個人事業主は、処理もお金の負担も自己負担です。

経理や状況の把握は欠かせません。

 

蛇足
わざわざお金の負担という痛みを知りたいのか?、と問われそうです。
映画「マトリックス」でモーフィアスがネオを覚醒させようとしている気分です(笑)。

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