税効果会計 スタートは法人税の超入門

準備運動が大切だということです。

税効果会計 実態と制度の板挟み

経営者の方の本を読むと、専門用語に頼らなくても税務会計の大事な思考が伝わるものだと感心することがあります。

藤田田(デン、日本マクドナルドやトイザらス創業者、故人)や稲盛和夫氏(京セラ創業者)の著作で、同じ問題が取り上げられていました。
問題とは、固定資産の償却をめぐる経営者と経理担当者の見解の相違でした。
(マクドナルドと京セラなので固定資産は異なります。問題の論点が一致していたということです。以下の償却年数は林が補いました)

経理担当者:固定資産○○は10年で償却(会計上費用にする)です、という報告に対して
経営者(藤田・稲盛):10年で償却では遅い、使用状況からみて5年で償却だ、と指示
(償却や費用化する年数を資金回収の年数と考えてください)
経理担当者:税法の基準と合いません。会計と税法で別々に計算しないといけません、と主張したが
経営者:それなら別々に2回分計算すればいい

法人税法の建前は、確定決算主義という会計処理をもとに法人税の算出です(会計→法人税)。
しかし、実態は会計が税金計算上の税法に左右されているというわけです(法人税→会計)。

計算を2回やっていた経理担当者の苦労も気になりますが(笑)、会計と法人税のズレがわからないままでは経営の実態を表すはずの決算書の信用性が低下します。

税効果会計は、会計と法人税のズレを表すための手法です。

税効果会計 スタートは法人税の超入門

税効果会計が、会計と税金のズレを表すことを確認しました。

では、法人税の計算構造がどのようなものかを確認しておくと会計との関連の見通しが良くなります。


上図では、別表4の税引前当期純利益1,000からスタートして課税所得を算出します。
次に、再度別表4に戻り、今度は税引後当期純利益700から始めます。
法人税は損金不算入なので加算となり、別表4が完成します。
(言い換えると、税引前当期純利益1,000を税引後当期純利益700と税金300に分けたということです)

税効果会計 会計と別表4・5(1)

税効果会計では、法人税の計算構造を理解しておくとわかりやすくなります。

税効果会計の対象となる会計と税法のズレ(一時差異)は、別表4の加算と減算にでてきます。
加算、税金が増える益金算入・損金不算入は繰延税金資産の発生につながります。
(会計上の償却を税法より短い期間で行うと、損金不算入になるわけです)
減算、税金が減る益金不算入・損金算入は繰延税金負債の発生につながります。
(繰延税金資産・繰延税金負債の解消はそれぞれ逆になります)

法人税での別表4は税金計算上の損益計算書のようなものです。
税金計算上の貸借対照表は、別表5(1)となります。
別表4ででてきたズレは、繰延税金資産・繰延税金負債として別表5(1)に登場します。

税効果会計は会計と法人税のズレを表す手法のため、処理の全体像がイメージしづらい分野です。
大まかですが、損益計算書⇔法人税別表4⇔法人税別表5(1)⇔貸借対照表というつながりをつかんでおくと、会計上の仕訳を単発で覚えるという勉強から視野がひろまります。

損益計算書⇔法人税別表4だけをみると、税効果会計の処理は繰延法で説明できそうです。
その一方で、法人税別表5(1)⇔貸借対照表という観点からは資産負債法のつながりがみえます。
(ストックの当期末残高=翌期首残高で将来につながります)

 

蛇足
冒頭で紹介した2人の経営者と経理担当者のやりとりは、昭和時代のようです。
そろばんや電卓で処理していたんでしょうか。
経理担当者も大変だったでしょうね。

 

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