おつきあいの無いマルサの報告を読む理由とは? 令和3年度査察の概要
税理士をやっています。
未だマルサとのおつきあいがございません。
圧迫感は健在
それでも読むマルサ 6月の経済イベント
毎年6月はイベントの少ない月です。
祝日もなく、数少ないイベントである「父の日」でさえも
「母の日」に比べてグッと地味です(笑)。
経済分野では、3月決算の上場企業の株主総会が6月に開催されます。
法人の決算月は各社ごとに決められますが、商習慣などの都合上
現在でも3月決算がメジャーです。
企業の決算と申告は一緒くたにされがちですが、
- 決算・株主総会:会社法
- 申告:税法(法人税、消費税)
と根拠となる法律は別モノです。
上場企業の経営状況や今後の動向と直接関係がなくとも、
株主総会は注目されるイベントです。
同じように、直接関連がない場合であっても
毎年注目される報道発表があります。
国税庁による「査察の概要」、マルサの報告です。
それでも読むマルサ 出典で確認する
「査察の概要」は以前令和2年度分を紹介しました。
(マルサの報告を読んでみよう! 脱税の傾向と対策)
残念ながら悪質な脱税が無くなっていないため、
令和3年度分も発表されました。
「査察の概要」が国税庁から発表されると、
必ず新聞など大手メディアでとりあげられます。
ただし、がっつりと報道されるわけではなく、
「概要」の概要ともいう全体の件数や金額が中心です。
「査察調査の概要」という強面の資料ですが、A4で10ページと
実際にはコンパクトにまとめられています。
国税庁サイトの「お知らせ」→「報道発表」より確認できます。
任意(という建前)の税務調査と連絡も予告も無い強制の査察ですが、
統計や「トピック」から内容をうかがい知ることができます。
末尾の「5 参考計表」をみることで、税の専門家でなくとも
査察の概要がみえてきます。
まず査察の対象件数です。
1年間で100件程度と、件数は多くありません。
査察の厳しさを感じるのは脱税額の金額の単位です。
「百万円」です。
上記の資料からは査察の脱税対象の金額が数千万円~億単位と想像できます。
どういった税目で何件・いくらを対象としたかが下記の資料です。
法人税と消費税に件数が集中しています。
脱税額でもこの傾向が確認できます。
査察の対象となった業種と数も示されています。
最後に裁判の結果が示されています。
有罪率100.0%が強烈な印象です。
「査察の概要」では具体例として9つの「トピック」も紹介されています。
判例の解説などとは異なり、詳細が記されているわけではありません。
とはいえ、「あ~、あれかっ!?」とわかる対象もあります。
(「H」はトピックの順につけられた記号です)
マルサの報告というと近寄りがたいイメージが先行します。
実際に確認してみると、確かに近寄りたくない印象です(笑)。
とはいえ、報道での「概要」の概要だけに接すると印象すら残りません。
出典を確認してみると、査察の重さが感じられます。
それでも読むマルサ 無関係で上等
「査察の概要」を読んでみると、
- 関係ないなー
と無駄骨感があるかもしれません。
そうであれば幸いです(笑)。
査察や脱税、刑事告発などは非日常的な世界の話で上等です。
「査察の概要」は推理小説・サスペンスくらい無関係
と割り切れる状態が正常です(笑)。
蛇足
たまーに「税務署が突然調査に乗り込んできたらどうしよう?」
とおっしゃる方がおられます。
「査察の概要」の一読がおすすめです。
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