預貯金口座は管理する、管理される?
口座管理法開始だから慌てるか?
「管理」ということばは好き嫌いが分かれます(笑)。
管理「する」を嫌う方は多くありませんが、
「される」は嫌悪と拒否が予想されます。
制度の変更に左右されない判断が大切になります。
口座管理 燃やしてしまえばわからない!?
税理士業では、通常一連の処理や手続きが終了した段階で、
資料や書類一式をお客様にお返しします。
お返しする対象が書面であれ、PDFなどのファイルであれ、
大切に保管いただくようお伝えしています。
手続きや申告の証明となる書面やファイルなどのため、
お客様も留意してくださいます。
他方、ご提示いただく資料となると…
私「お亡くなりになった方の預金通帳を確認したいのですが?」
相談者「燃やしちゃったかな?(笑)」
相続税のご相談の一幕です。やや脚色しています(笑)。
通帳を隠滅してしまえばなかったことにできる
ということはありません。
通帳はなくとも、銀行にはデータが保管されています。
預貯金口座の管理は通帳の有無だけの問題ではありません。
2024年(令和6年)4月より通称「口座管理法」が始まりました。
口座管理 2024年4月から制度開始と懸念点
「口座管理法」は銀行口座とマイナンバーをひも付ける制度です。
2024年4月より新規の口座開設の際に、口座とマイナンバーを
「任意」でひも付けることができるようになりました。
口座管理法の正式名称からも「任意」とわかります。
- 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による
預貯金口座の管理等に関する法律
口座管理法の制度のメリットとして以下の2点を挙げています。
- 災害時、避難先での口座情報の確認(第7条)
- 相続時、被相続人(亡くなった方)の口座確認(第8条)
デジタル・オンラインの強みを活かした仕組みと言えます。
口座を管理「する」視点では魅力があります。
他方、口座とマイナンバーとのひも付けにより管理「される」
といった不安が感じられます。
デジタル庁がそうした問答を想定しています。
Q9-6 預貯金口座に付番すると、所得・資産の情報が国に伝わるのでしょうか。
従来より、国が預貯金者の口座情報を確認できるのは、
法令に基づき、必要な社会保障の資力調査や税務調査などを行う場合に限られています。
これら調査等において、マイナンバーを使って本人の預貯金口座を特定・確認する可能性はあるものの、
これら調査等以外で、国が預貯金者の口座情報を確認することはできません。
身も蓋もない言い方ですが、
- 口座管理法があろうとなかろうと口座の税務調査はやってるよ
という現状があります。
口座管理 管理で不安を整理する
財産の管理を「される」ことは愉快ではありません。
一方で、事業用の口座管理でも、相続時の口座確認であっても、
経営者や相続人が確認不十分な口座があります。
取引先の都合や転居により利用する口座は変化します。
口座管理法の開始や将来の制度の進展とは関係なく、
管理を「する」がおすすめです。
長期間未利用の口座の整理も検討の対象です。
蛇足
アイキャッチ画像は散歩中に見かけた水田です。
今年も田植えがスタートしているようです。
毎年の見慣れた光景ですが、令和6年能登半島地震もあり、
被災した能登地方の厳しい状況との違いも感じます。
今週のスタエフ
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