決算書は作成できなくても読めればOKか?
当事者目線でいつ・何のためにみるのか?
書店で棚の表示を見ていると「簿記」や「会計」ではなく、
「決算書」があったりします。
関心の高い対象ということがわかります。
一方で、いつ・どんな目線での関心なのかが気がかりです。
決算書の目線 申告書は読み重視
決算書と申告書は個人事業でも法人の経営でもセットで作成します。
所得税と法人税は税目が違うとは言え、利益を所得として課税するので、
決算書の作成と申告書の作成はつながっています。
- 会計(決算書) → 税務申告(申告書)
- 決算書 売上-経費=利益≒所得
- 申告書 所得✕税率=税額
税務申告書は税法や関連したルールと税目ごとの様式があり、
事業所得税や法人税では税理士が作成するケースが主流です。
申告期限が近づくと、とにかく税額だけを伝えてくれ!
といった税理士への要望が強まるわけです(笑)。
些末な内容は後回しにしても、税務申告書の仕組みの理解は
経営判断にもプラスなので確認がおすすめです。
決算書の目線 誰の・どんな目線?
決算書は損益計算書や貸借対照表が作成されます。
事業の内容次第でルールは異なる部分があるものの、
複式簿記や会計の共通のルールで作成されます。
決算書は経営の活動が事実に基づいてストレートに反映されています。
決算書には経営の成果が現れているので、読めない状態では
経営当事者であっても経営状態を把握できないことになります。
対税務署だけでなく、対銀行での融資対応が億劫になります。
税理士に帳簿や決算書の作成を任せる選択肢はありますが、
決算書を読む・理解することは経営当事者抜きではありえません。
上場企業などの公開会社とは異なり、オーナー経営での決算書は
経営者が経営状況を把握することが優先です。
「貸借対照表」という表示だけで目が泳いでいるのであれば、
税理士に説明を依頼することがおすすめです。
(貸借対照表や資産と言われて目が泳いでいませんか?)
決算書の目線 いつ・何のために見つめるのか?
カチッとした決算書の作成には、日々の会計処理に加えて、
決算での処理を加える必要があります。
期中に棚上げした処理があれば解決していくことになります。
経営者だけで決算書を作成し続けることには負担があります。
他方、入力やデータの取り込み、「月次(げつじ)」での処理は
年次の本決算よりは負担が抑えられます。
本決算とは異なり「月次決算」の結果は翌年度ではなく、
当年中での対応のための判断材料となります。
月次決算の確認から得た知見からの経営判断までには
スピード感が大切になります。
税理士をどう急かせるか?、だけでは解決しません(笑)。
本決算と同じように税理士のサポートは月次決算でも有効です。
とはいえ、経営判断に必要なデータを反映させるための処理を
経営者当事者が理解していることが必要になります。
決算書を読めるか、作成できるか?といった目線よりも、
当事者として決算の成果を利用できる目線がおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像は散歩中にみかけたヒマワリです。
9月に植えられたようですが、1か月もしないうちに
満開になっていました。
夏でも秋でも目立つ花ですね。
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