税理士は心配性でおせっかいなのか?
綱紀の保持は伊達じゃない!

「綱紀(こうき)」という字面が物々しい印象です。

「保持」よりも「粛正」との組み合わせでみかけます。

粛正されたくはありませんね(笑)。

税理士への依頼とつきあい方に留意事項があります。

ノリや相性は大切ですが…

綱紀の保持 税法だけが対象じゃない

税理士の登録をすると試験とはお別れできます。

忌々しい足かせがなくなってスカッとします(笑)。

他方で、税理士を続けるための「義務」が付いてきます。

たとえば、「研修」受講義務。

年間36時間の研修をウェブや会場で受講する必要があります。

試験やテストはありません(笑)。

研修内容は税法に関連が目立ちますが、「綱紀の保持」といった
税理士法に関する研修もあります。

綱紀の保持 助言義務と懲戒処分

税理士には「税理士法」で決められたルールがあります。

試験制度や登録に関するルールもありますが、

  • 税理士の権利と義務(第30条~第43条)
  • 税理士の責任(第44条~第48条)

といったルールも決められています。

研修受講の義務も条文で確認できます。

条文の末尾が「ならない」というあたりに厳しさを感じます。

脱税相談等の禁止」はストレートにわかりやすい義務です。

助言義務」は関与先も対象に含まれている点で見逃せな義務です。

委嘱者を関与先やお客様と置き換えると、

  • 不正な税負担のスルーや還付だけでなく、
  • 売上除外や架空経費などの隠ぺい・仮装がわかったら、
  • 放置せずに是正することが税理士の義務です

ということになります。

上記の義務には責任、「懲戒」がセットとなります。

第45条の懲戒では第36条の脱税相談等の禁止を対象としているだけでなく、
第41条の3の助言義務にも関連しているとされます。

関与先が助言義務を無視している状態で税理士が関与を続けると、
懲戒の対象となるわけです。

綱紀の保持 保守的な発想は伊達じゃない!

税理士は心配性でおせっかいな印象があるかもしれません。

アグレッシブに攻めていくというよりも守りを固める、
「保守的」な判断をとる傾向があります。

会計の原則でも「保守主義の原則」があります。

収益の金額を少なく・時期は遅く、費用は大きく・時期は早め
といった具合に事業の継続に備えた考え方です。

ノリが悪そうな印象かもしれません(笑)。

とはいえ、関与先・お客様の長期的な利害を考慮すれば
納得がいくはずです。

脱税相談等の禁止や助言義務にも同じことが当てはまります。

税理士には法律上の義務もあり、懲戒は御免です。

同時に、義務的に不正な税逃れに助言するというだけでなく、
税理士であれば関与先・お客様の利害を合理的に検討をします

「綱紀の保持」は一見すると税理士のみを対象にしていますが、
関与先・お客様を守る一面もあり伊達ではありません。

 

蛇足
アイキャッチ画像は研修があったホテルのビアガーデン。
2024年(令和6年)9月上旬は石川県でも連日30℃超で、
ビアガーデンにも違和感がない天候です。
私は粛々と帰途につきましたが(笑)。

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