祭祀財産の相続の検討もお忘れなく!
通常の相続財産とは異なります!

「相続」や「遺産分割」ということばと「利害対立」は
つながりやすい印象です。

「祭祀」はそうした紛争とは無縁な印象ですが、
手放しではいられない事情も出てきます。

利害が金銭問題の対立や調整だけとは限らないので、
解決には時間を要するかもしれません。

アガパンサス

祭祀財産 7月は墓の草とり

毎年7月上旬の日曜日に実家町内の草刈り作業に参加しています。

春以降にしっかり伸びた雑草の処分を約2時間行います。

鎌だけでなく刈払い機持参の方も多く、作業はサクサク進みます。

作業終了後、私は毎年実家や親戚の墓の草とりをしています。

石材の隙間からも毎年しっかり雑草が生えてきています。

祭祀財産 通常の相続財産とは異なる!

お墓などは通常の相続財産とは別に「祭祀(さいし)財産」とされます。

祭祀財産には下記のものがあります。

  • 系譜(家系図): 祖先の血縁関係を記したもの
  • 祭具: 仏壇、仏具、位牌、神棚、神具など
  • 墳墓: 墓石、墓地、納骨堂など

通常の相続財産と異なり、祭祀財産は相続税の対象外・非課税です

換金性や税負担を考えない財産なのでスルーしそうですが、
民法上見逃せないルールがあります。

民法897条に祭祀財産の相続ルールがあります。

896条は「相続人が…権利義務を承継する」と相続の一般的効力ですが、
897条は「祭祀を主宰すべきものが承継する」となっています。

ザックリとらえると、祭祀財産は一人で所有するということができます。

必ず祭祀財産の承継者一人とは限らない裁判例もありますが、
通常の財産とは異なる仕組みがある点に留意が必要です。

祭祀財産 相続後の始末も

祭祀財産、お墓などは相続後も残り続けます。

お墓・墓石は周囲に雑草がはびこったり、石材の劣化はあっても、
残り続ける財産です。

他方、祭祀財産を相続するやその後の相続人が続くとは限りません。

「墓じまい」も祭祀財産や相続と関連する問題です

お墓を維持することも墓じまいすることも相続人だけでなく、
親族を含めて心情・金銭両面での問題となります。

解決には時間を要することもあるので、早めの対応がおすすめとなります。

 

蛇足
「祭祀」の「祀」のヘンは「示」なのか「ネ」なのか?
といったもやもやした問題があります。
旧字体‐示・新字体‐ネと割り切って区別していますが、
パソコンで入力‐示・手書き‐ネが現実的対応かもしれません。
7月は「祇園祭」もあり、見かける機会の多いヘンですね。

蛇足2
アイキャッチ画像はアガパンサスです。
墓前にも合いそうな印象の花だと思っていましたが、
花言葉は「恋の訪れ」・「ラブレター」(笑)。
ギリシャ語の「アガペー(愛)」にちなんだ名称だそうです。

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