相続税で通達が幅を利かしている理由とは?
5歳児ではわかりません(たぶん)。
相続税と通達 租税教室と違う?
税理士の仕事という延長上、小学校へ「租税教室」で
登壇したことがあります。
(租税教室で登壇しました! 大人の皆様大丈夫ですか?)
租税教室で心がけたのは、
- 知っているはずの知識を使って
- 知っているはずの知識を別の点からとらえる
ということでした。
租税教室ということで税金をめぐるお話をしました。
とりあげたテーマの一つは税金と法律の仕組みで、
- 税金には必ず税法が裏付けとなっている
- 税法も法律の一つである
- 法律は国会で国会議員が決める
- 国会議員は選挙で選ばれる
といった生徒の知っているはずの知識の関連付けを強調しました。
複雑でわかりにくい税金の仕組みといっても、
税法という根拠があることを伝えました。
法的根拠や法的な裏付けというと重苦しい印象ですが、
カチッとした判断基準があるのは悪くありません。
とはいえ、上記も「一般的には」と条件付きです。
相続税と通達 シンプルでも困る財産評価
「通達(つうたつ)」という文書があります。
一般には、行政機関内で作成される文書で、
- 上級機関から下級機関や職員に向けて
- 職務上の基準を示す
といった内容です。
見方を変えると、通達は行政機関内の取り決めであり、
国会で決められた法律とは異なります。
国会は「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である(憲法14条)」
なので通達は法律ではありません。
とはいえ、通達が幅を利かせる場面もあります。
たとえば、相続税申告での財産評価。
相続税法での財産評価の原則である22条は以下の通りです。
「時価(じか)」と取り違えようがありません。
問題は時価って何?、というツッコミが続くことです(笑)。
納税者や税理士の目線からは有利な選択をとりたいところです。
シンプルでも抽象的すぎる規定では、百花繚乱・カオスとなります。
そうした理由から相続税の財産評価では通達が重要になります。
申告後の税務調査でのリスクがある以上、通達は無視できないともいえます。
通達の内容は「こんなのもあるんか?」という感想です。
財産評価の通達では、土地の評価上は
- 遊園地=ゴルフ場
というわけです。
予想がつきそうなことですが、ゴルフ場の評価も示されています。
(通達の構成上はゴルフ場→遊園地です)
難儀そうなことは読み取れます(笑)。
相続税と通達 税理士は鑑定士か?
相続税での財産評価が必要ということですが、
税理士は鑑定士ではありません。
財産の実態や通達を参照しつつ手続きを進めますが、
税理士だけで財産評価が完結するとはいえません。
上記のゴルフ場の通達でも、税理士以外の専門家への言及があります。
相続税法の財産評価はシンプルです。
その一方で、個別具体的な財産評価が一筋縄ではいかない可能性もあります。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
10か月は長いようですが、時間に余裕があるとは言い切れません。
税理士以外の専門家の力を必要とする可能性もあることは
知っておいた方が良いと思います。
蛇足
通達を読んでいると世間は広いもんだという印象です。
「鉄オタ」でも知らないトリビアでしょうか?
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