株主資本等変動計算書とは

おまけではないのです。

株主資本等変動計算書 決算書の一味

株主資本等変動計算書(かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ)は決算書の一つです。
(Statement of changes in Shareholder's equity、以下S/S)
会社法で貸借対照表や損益計算書と同じく決算ごとに作成が義務付けられています。

S/S以上に有名なキャッシュフロー計算書は、中小企業には作成義務がありませんので、S/Sの方がより一般的な決算書ともいえます。
また、キャッシュフロー計算書と同様にS/Sも「計算書」という名称がつけられています。
キャッシュフロー計算書が、事業活動のお金の動きを営業・投資・財務に区分して表した決算書でした。
(キャッシュフロー計算書 決算書のはぐれもの)

S/Sは貸借対照表の「純資産の部」の増減を表した決算書です。

株主資本等変動計算書 貸借対照表と損益計算書の合流地点

純資産の部の増減といってもピンときません。
大企業(上場企業)ならば、株式の発行や保有している株式の評価による換算差額などの純資産の構成も複雑化します。
その一方で、中小企業では純資産の部の増減や変動がイメージしづらいかもしれません。
とはいえ、中小企業であれ大企業であれ純資産の部は必ず変動します。

ポイントは、損益計算書→貸借対照表のつながりと損益計算に表れないお金の動きです。

事業活動を決算書で表すと、
貸借対照表(期首) → 損益計算書(年間取引) → 貸借対照表(期末)、となります。
損益計算書→貸借対照表は、当期利益の反映です。
見方を変えると、資本金やその他の増減を除いた純資産の部は、事業活動の経営成績の累積ともいえるわけです。

企業のお金のやりとりでも、損益に関係しない取引である配当金はS/Sに表れます。
中小企業でも配当金がありうるので、配当金の原資である純資産の部とつながります。

株主資本等変動計算書 中小企業にとっては相続で関連

S/Sは、事業活動の利益の累積や配当を表した決算書です。
事業活動を長期的な視野や「利害関係者(配当では株主)」を視野に入れた決算書といえます。
別の見方をすると、利益や法人税等の計算に関連しないので、マイナー情報かと誤解されそうです。

中小企業にとっては、S/Sは短期的には貸借対照表や損益計算書に比べて重要度の低い計算書です。
しかし、長期的な事業承継の視点では無視できない存在となります。
上場企業と異なり中小企業の株価は、取引されていないので株式を引き継ぐ際に評価する必要があります。
このときに利益・純資産・配当の情報が必要になります。
(その他にも株主の構成なども重要です)

当面の決算だけをみるとマイナーなS/Sも、相続税を視野に入れた中長期では不可欠な情報を提供してくれます。

 

蛇足
簿記だけを勉強していると、S/Sが相続税と関連することが想像できません。

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