キャッシュフロー計算書 決算書のはぐれもの

ハードボイルドな決算書かな。


これからハードボイルド。

キャッシュフロー計算書 決算書の種類

決算書ということばは、よく使われます。
税金の申告や銀行での借り入れ、さらに最近では補助金などの申請にも必要な書類とされています。

あらためて確認すると、決算書という単独の書類はありません。
貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表、さらに法人税や所得税の申告書を総称して決算書と呼んでいます。
別の見方をすると、決算書とは会社法・金融商品取引法・税法によって要請されている事業活動を表すための書類ともいえます。

キャッシュフロー計算書は、金融商品取引法で規定されている決算書の一つです。
よく知られた名称の決算書なのですが、会社法や税法では必要とされていません。

キャッシュフロー計算書 はぐれものな理由

キャッシュフロー計算書は、一会計期間のお金の動きを分析した決算書です。
上場企業では必須の決算書なのですが、大多数の事業活動を行っている事業者にとっては法的には必要とされていません。

この理由は、キャッシュフロー計算書を要請している金融商品取引法が投資家を保護するための法律であることに理由があります。
投資家にとって必要な情報であるお金の動きを分析した決算書としてのキャッシュフロー計算書は、情報の提供という観点から必要とされているわけです。

これに対して、大多数の中小企業では不特定多数の投資家という存在を前提にしていないので、あえてキャッシュフロー計算書という決算書を要請していないわけです。

ただし、会社法や税法で要請されていないからといってキャッシュフロー計算書が無益なわけではありません。

キャッシュフロー計算書 柔軟な作成や分析も

キャッシュフロー計算書では、お金の動きを営業・投資・財務に分けて分析します。
より具体的に表現すると、営業活動のキャッシュフローは事業損益に、投資活動のキャッシュフローは主に固定資産の増減と関わります。
財務活動のキャッシュフローは、中小企業にとっては借入に関わるといえます。

キャッシュフロー計算書を作成する基礎資料は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書、さらに総勘定元帳です。
(総勘定元帳とは 三枚複写式伝票でも会計ソフトでも)

キャッシュフロー計算書が、必須とされていない中小企業にとっては他の決算書よりも劣後した決算書にあるともいえます。
(キャッシュフロー計算書 必要か?)

前向きにみれば、あえてキャッシュフロー計算書を作成する理由として経営の見直しや計画の策定のための分析資料としての価値を見いだすことになります。
言葉を変えると、 法律で規定されている決算書よりも柔軟な作成や分析とも可能なわけです。
貸借対照表・損益計算書や申告書は、1円単位での正確さが求められます。
しかし、分析のためにあえて作成するキャッシュフロー計算書には、そうした精度は必ずしも必要ではありません。

キャッシュフロー計算書の位置付けを確認しておくと、 キャッシュフロー計算書の作成や分析にも期待がもてます

 

蛇足
お金の動きというシンプルなはずのキャッシュフロー計算書ですが、 直感的には把握できない情報の見える化に役立ちます。

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