相続税のリスクを上昇させない申告とは?
共同で申告か、別々に申告するか?

「リスク」と相性の良い発想は通常「分散」です。

Don't put all your eggs in one basket です。
 (卵を1つのカゴに入れるな)

相続税の申告となると様相が変わります。

税負担額とは別の申告でのリスク回避も課題です。

ゆずの香りでリラックス(日本堂 石川県能美市)

申告リスク 申告でも違いのある相続税

税金の分類として申告と賦課方式があります。

自ら税額の算出まで行う所得税・法人税・消費税・相続税は
申告税制度での税金です。

固定資産税や自動車税などのような税額が役所で決められている
賦課方式とは異なります。

所得税・法人税・消費税・相続税は納税者が申告書作成する
という点で共通しています。

一方、所得税・法人税・消費税と相続税では申告手続きで
大きな違いがあります。

納税者が単独で提出する税目か、共同での提出も可能か
といった違いです。

所得税・法人税・消費税は納税者が単独で申告します。

一方、相続税では相続人が共同で申告することもできます

できます」という点が見逃せません。

相続人の判断次第、選択の余地があるということです。

通常、税金の選択の余地は納税者が有利となる選択がおすすめです。

とはいえ、相続税の申告では税負担額だけが焦点とは言えません。

申告リスク 共同か、別々か?

相続税では被相続人の財産の分割と税負担が関連します。

相続人間での利害の調整が必要な局面もあります。

同時に、相続開始から10か月以内での申告期限もあります。

税務申告には財産の調査から分割協議の結果を受けて、
申告書を作成する一連のプロセスがあります。

相続状況によっては必ずしも相続人間が円満とはいえない
といった状況もあります。

共同での申告ではなく、相続人ごとの申告もあるわけです。

相続当事者である相続人がそれぞれ納得できる申告を行う
という点で各々で申告することは可能です。

反面、1つの相続による申告で複数の申告書が作成されると、

  • 相続財産の把握に違いが出る
  • 相続財産の評価が異なる可能性がある
  • 特例の適用での食い違いが生じる可能性がある
  • 他の相続人の特別受益が不明な状態での申告となる
  • 相続税の連帯納付義務を把握・管理しづらい

といったリスクが生じやすくなります

被相続人が事業を営んでいた状態で相続が開始されると、
事業上の債権債務も相続に反映されます。

相続人だからといっても被相続人の事業や財産を知悉している
とは限りません

むしろ、事業や財産の把握では相続人ごとにムラが生じる
という可能性があります。

不確かな状態での申告書が作成されるリスクも高まります。

申告リスク 負担を軽減も相続対策

相続税の申告は財産評価や申告書の作成などの面で
納税者だけでの対応に限界があります。

税理士への依頼が有効な選択となります。

効率性や安定した相続税申告の観点からは、

  • 共同での申告を前提に
  • 特定の税理士へ依頼する

といった選択が安全策です。

相続の検討や計画では財産の分割や税負担額が関心事ですが、
税務申告の進め方も確認しておく必要があります。

申告後に不安を残さないように準備・検討することも
相続税申告のリスク回避となります

 

蛇足
アイキャッチ画像はいただき物の「のみ柚子」です。
ゆずの香りがさわやかでした。
ややこしい仕事のリラックスにも合います(笑)。

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