大雪は確定申告の雑損控除でフォロー!
費用の範囲と証拠資料と計上時期

雪国限定の記事になります。

国税のなかのローカル色がみられるテーマです。

寒いときほど火の用心

大雪と雑損控除 慣れていても…

「雪国の人にとって大雪なんて毎年のことでしょ?」
という問いは当たっています。

ただし、慣れているだけで、大雪を好んではいません(笑)。

大雪に見舞われると、

  • 外出する「前」に除雪が必要
  • 車の運転や駐車に差し支える
  • スケジュール調整を余儀なくされる 
  • 光熱費の負担が上がる etc.

と鉛色の空模様と同じくどんよりした気分になります。

市街であれば公共機関による除雪も期待できますが、
郊外であれば自力救済の度合いも強まります。

大雪による雪害には、

  • 人手
  • 除雪器具や車両
  • お金

といった要素が無視できません。

事業活動で上記の負担が生じた場合であれば、

  • 「外注費」

といった費用計上の対象となります。

個人で事業活動していない方にとっては、

  • 所得税の所得控除である「雑損控除

に当てはまる可能性があります。

大雪と雑損控除 費用の範囲と資料と計上時期

まず、「雑損控除」を確認します。

「災害」には「雪害」も含まれています。

■費用の範囲

雑損控除の金額では「災害関連支出の金額」の確認が必要です。

「支出の金額」といった費用が雑損控除につながります。

一般的には下記が「災害関連支出の金額」となります。

大雪に対する費用の例としては、下記が参考になります。
 (新潟県による資料より)

事業活動上の「外注費」と同等といった支出です。

■証拠資料

除雪を土建業者などに依頼した場合であれば、
取引の領収書などは残したいところです。

しかし、切迫した状況や事業でのやりとりだったり不慣れだと
そうした資料まで気が回らないこともあります。

条件付きですが、支出の証拠資料として下記も有効です。

  • 支払年月日
  • 支払先
  • 支払金額

手書きのメモで記録して保管しておくことも有効ということになります。

余談ですが、上記の取り扱いが出された時期は「五六豪雪」真っ只中です。

■計上時期

大雪と雑損控除の対応で困ることの一つに、

  • 大雪による支出と確定申告の時期がズレる

といったことがあります。

たとえば、2023年(令和5年)1月の大雪に対する支出は、

  • 「令和5年」分の確定申告の雑損控除として
  • 「令和6年」2月以降の確定申告に反映させる

という扱いになります。

上記の点について、「通達」でのフォローがあります。

上記の例では、2023年(令和5年)1月での支出を、

  • 「令和5年」分ではなく、
  • 「令和4年」分としての雑損控除

での確定申告が可能ということです。
 (ただし、「令和5年」分には計上できません)

納税者にとっては有利な選択も可能となります。

大雪と雑損控除 記録有れば憂いなし

雑損控除の利用について、

  • 手書きのメモでも資料となる
  • 計上時期に柔軟性がある

といった点は意外な印象かもしれません。

所得税という全国一律の国税のなかでのローカル色がみられます。

納税者にとっては有利になる可能性がある仕組みです。

とはいえ、そうした利点を活かすためには、

  • 記憶より記録の作成と保存!

という条件があります。

目前の大雪をみるとゲンナリし、対処後はクタクタになりますが、
後顧の憂いを断つためのひと踏ん張りがおすすめです。

大雪へのフォローは確定申告にもつながっています。

 

蛇足
雪害がメディアでも取り上げられるほどになると、
スーパーの野菜コーナーが閑散とします。
物流と食生活のつながりを実感します。

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