確定申告の寄附は所得控除?、税額控除?、どっちにするか?
その選択に気づかなかったという方はご一読ください。
所得控除と税額控除 「こうじょ」って何?
確定申告の手続きのなかでよく聞くことばに
「控除(こうじょ)」があります。
日常では使われないことばなので申告書では、
- 「所得から差し引く」
と表記されています。
「控除」=「差し引く」というわけです。
慣れないことばも頻繁に使って目にしていくと
抵抗感は減ります。
それでも引っかかるのは、確定申告に2つの控除
- 所得控除
- 税額控除
があることです。
所得控除と税額控除 インパクトの違い
「控除」=「差し引く」ですが、問題は、
- 何から(どこから)
- 何を差し引いて
- どんな効果があるか
ということです。
まず所得控除の確認です。
申告書では「収入」→「所得」の次に位置しています。
「所得」→「所得から差し引かれる金額」→「税額の計算」
なので、
- 所得控除とは所得から差し引かれる対象
- 所得 - 所得控除 = 課税前所得
となります。
所得控除には、配偶者控除や社会保険料控除・医療費控除
などがあります。
税金の計算は、
- 課税前の所得 × 税率 = 税金
となっています。
税額控除の出番は、税額が計算された後です。
- 税額 - 税額控除 = 控除後の税額
税額控除では、住宅ローン控除がよく知られています。
所得控除と税額控除の違いは、
- 所得から税額を計算する過程
を理解しておくと違いがわかります。
ややこしく感じるのは、「寄附金」控除の一部です。
所得控除と税額控除 有利選択という対象もある
確定申告での「寄附金」といえばふるさと納税が
よくとりあげられます。
ふるさと納税は所得控除の対象です。
「所得から差し引く金額」に反映されます。
所得控除とは別に、税額控除にも
- 「政党等寄附金等特別控除」
といった項目があります。
たとえば、ユニセフへの寄付。
上記の寄付は所得控除と税額控除の選択が可能です。
(下記は「ユニセフ 寄付金 控除」で検索)
どちらを選択しても税金の負担は少なくなります。
とはいえ、選択により効果が異なります。
税額控除であれば、税金の負担がダイレクトに小さくなります。
- (寄付額-2,000円)×40%=税額控除
- 税額控除は所得税額の25%が上限
一方所得控除であれば、税金の負担は間接的に小さくなります。
「間接的」という理由は所得控除後に税額を計算するため、
税率による影響を受けるからです。
- (寄付額-2,000円)×税率=所得控除
所得税の税率は超過累進税率です。
所得金額が高いほど適用される税率が大きくなります。
所得税率が40%を超えるという方は少数派なので、
一般的には税額控除が有利です。
とはいえ、税金の計算では上記の寄付金以外にも
所得控除や税額控除の対象があるはずです。
所得控除か税額控除での選択に迷った場合は、
- 具体的なシミュレーション
- 申告書の作成
がおすすめです。
「確定申告書等作成コーナー(国税庁)」では自動的に
有利な選択をしてくれます。
たとえば、収入が100万円、ユニセフに10万2千円寄付して、
「作成コーナー」の所得控除で入力すると、
有利な税額控除が選択されます。
税額控除の限度額も反映されます。
この選択は、確定申告期限後の修正申告や更正の請求では
変更できません。
選択の結果や効果だけでなく、判断の過程も理解していると
翌年以降の申告でも不安が減るはずです。
蛇足
税金の用語は公用文ということで「寄附」です。
「寄付」ではないわけです。
些末な話なので人前で言わないようにしています(笑)。
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