税理士は税制度の好き嫌いを言わないのか?
不毛な感情とは功利的に折り合う
「税理士だってにんげんだもの」と言いたいところです(笑)。
会計や税金の仕組みが常に理想的であれば問題ありません。
現実は…、(笑)。
では、どこで折り合いをつけるか?
好き嫌い 義務がありますからね
不毛な話に陥りそうなときに、対話者の建設的な発言で救われる
といったことがあります。
- 対話者 「税理士はどんな制度にも従うんですか?」
- 私 「好き嫌いはともかく、やるべきことを優先します」
- 対話者 「納税の義務を守る必要があるからですね」
対話者が小学6年生という点はさておき(笑)、スジの良い展開です。
「公平・中立・簡素」が理想の税制度ですが、現実は別物です。
完全無欠の税制度がないことは了解していても、不満はあります。
一方で、個人的な見解や主張を棚上げして仕事を進める必要もあります。
では、どう折り合うか?
好き嫌い 功利的に税金とつきあう
税金を政府側からとらえると財源の調達手段です。
納税の義務の強調や各種の徴収制度がともなうことと対になります。
公共サービスが必要とわかっていても、納税者目線では面白くありません。
とはいえ、政府側もそうした納税者目線は想定しています。
申告・納税制度では納税者にとって有利な判断の余地があります。
- 所得税の青色申告制度
- 消費税の簡易課税、2割特例
- 相続税の配偶者の特例、小規模宅地の特例 etc
選択の結果として納税者の税負担が緩和、政府の税収減となっても、
義務の達成に支障ありません。
財源調達よりも特定の目的を狙った税制度があります。
たとえば、「特定空き家」による固定資産税の増額措置。
増え続ける空き家対策として、通常の6倍の固定資産税の負担となります。
申告制度と固定資産税のような賦課制度といった違いはありますが、
納税者にとって功利的な判断の余地があります。
さらに、危機対応としての納税証明といったとらえ方もあります。
2024年の令和6年能登半島地震への事業者向け対応措置として、
「なりわい補助金」が整備されました。
最大で必要な資金の3/4が補助される、返済不要の制度ですが、
決算書・申告書の提出が必須です。
補助金以外の融資での申込みでも同様です。
決算処理や申告書作成、納税が好きかどうかは別にして、
過去の実績が危機対応につながります。
好き嫌い 好みを棚上げする
税理士は税制度の好き嫌いを言わないのか?、といった問いは、
サポーターとしての税理士には不向きといえます。
個人的な見解はともかく、
- 税理士は実利的な選択や判断をサポートする!
といった折り合いついていると、好みは棚上げできます。
短期的な損得だけでなく、長期的な視点からの検討も加えることで、
目前の問題だけに振り回されることも防げます。
税制度に対する見解は選挙など別の機会に持ち越すことで、
目前の課題に取り組めます。
蛇足
アイキャッチ画像は「くず餅」です。
6月になると暑さも湿度も強く感じられるようになります。
見た目でも食感でも涼しさの魅力が増しますね。
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