法人成りは損得勘定を長期で見積もる!
株式会社の代表取締役等の住所非表示
「インセンティブ(incentive)」は「刺激」や「動機」ではありますが、
おいしい話を確約しているわけではありません。
インセンティブの開始以前との違いを知っておくことで
冷静な検討がすすめやすくなります。
代表非表示 法人成りの損得勘定
事業が順調に進んでくると気になるのは「法人成り」です。
個人事業主から法人を設立することで信用力や営業を強化、
税負担でも有利に進める選択肢が出てきます。
経営の安定・発展を図るのは経営者の仕事です。
事業の動向次第で法人成りが選択となるわけですが、
必須の選択ではありません。
法人成りの損得勘定では「損」も検討の対象です。
- 赤字でも法人住民税負担あり
- 社会保険の強制加入
- 設立登記が必要 etc
会社とプライベートのお金の使いすぎてを分けて管理することや
税理士報酬の増加も検討対象です。
上記の「損」は金銭的な見積もりがとりやすい対象です。
他方、金銭的には見積もりにくいものの「損」と感じられるのは、
代表取締役等の住所の表示があります。
代表非表示 起業の後押しと留意点
法人の設立には「登記」が不可欠です。
登記の対象の一つに「代表取締役の住所」があります。
会社ではなく個人の住所です。
個人情報保護やプライバシー保護が当然の措置と考えると、
法人設立をためらう対象ともとらえられます。
2024年(令和6年)10月より「株式会社」の「代表取締役等」の住所表示を
非表示にできるようになります。
選択的な対応となります。
「登記情報提供サービス」といった登記情報で公表されている住所表示を
非表示とすることができます。
上記の見本を例にとると、
- 住所表示は市町村や特別区の最小行政区までの表示となり、
- 東京都△△△△区までの表示
という措置がとれます。
家族を含めたプライバシー保護や女性の企業支援という面から
法人の設立を後押しする措置と言えます。
ただし、代表者の住居表示には下記の留意点もあります。
- 対象は「株式会社」
- 金融機関からの融資に際して不都合が生じる可能性がある
- 代表取締役等の住所非表示ではあっても登記義務は免除されない
法人成りの検討課題・選択肢が増えるわけです。
代表非表示 企業の前提をご存知ですか?
事業形態を「個人」・「法人」といずれとするかも経営判断です。
経営者次第の判断であり、損得勘定抜きには考えられません。
事業の損得勘定は通常一年間です。
設備投資や融資を対象とした検討でも期間を想定します。
他方で、企業には「継続企業の公準」といった前提があります。
「個人」とは異なり「法人」は半永久的に存続する前提です。
サラッと無茶な前提かもしれません(笑)。
とはいえ、企業の存在は長期が前提です。
法人成りや法人設立にともなう損得勘定は欠かせませんが、
時間軸を長く想定することがおすすめです。
税理士には寿命がありますが(笑)、長期でのサポートが一般的です。
蛇足
個人事業での税務申告に慣れていても法人の決算書や
申告書を見ると量が多くうんざりするかもしれません。
税理士への依頼料金で法人と個人で差がつくわけです。
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