マイナス残高は要チェックの対象なのか?
現金残高と預り金残高の違いとは?
簿記は複雑な印象がありますが、通常「マイナス」は登場しません。
とはいえ、「通常」以外のケースがあります。
貸借科目でのマイナス残高といっても科目次第で違いがあります。
マイナス違い まずは異常を確認
会計処理、ソフトへの入力は1か月単位で完了させます。
1年ごとではありません(笑)。
入力・データの取り込みが済んでも処理は完了しません。
金額・勘定科目・相手先・摘要(取引内容)・消費税区分と
チェックが必要です。
金額が間違っていてはどうにもなりません。要確認です。
闇雲に確認するのではなく、貸借対照表の科目残高を確認します。
預金残高であれば、銀行口座の残高と突き合わせます。
その他の勘定科目についても確認します。
「マイナス残高」であれば異常な状態なので、要チェックです。
マイナス違い 勘定科目ごとの違い
複式簿記は複雑という印象がありますが、マイナスの表示は通常ありません。
一方で、入力や集計の結果としてマイナス残高となることがあります。
たとえば、現金勘定。
マイナス残高になっていることを会計ソフトの新機能であったり、
会計上の新たな解釈を見出してはいけません(笑)。
現金勘定がマイナス残高である場合、
- 入力金額の誤り
- 出金の二重計上
- 入金の入力漏れ
- 横領
といった原因が考えられます。
(「マイナス残高(笑)」のどこが「(笑)」なのか?)
マイナス残高の原因を確認して訂正します。
なお、マイナス残高と逆の過大な残高でも確認は必要です。
他方、マイナス残高の原因を確認した上でやり過ごす
といった場合もあります。
たとえば、預り金勘定。
給与の支払時に従業員の源泉所得税分を計上します。
- (借方)給与 (貸方)預り金 源泉所得税
納付時に計上していた預り金勘定が振り返られることで
預り金勘定の残高がゼロになります。
- (借方)預り金 (貸方)お金 納付
ただし、預り金勘定がマイナス残高になることもあります。
現金勘定のマイナス残高と同じように処理の誤りもありますが、
タイミングのズレが関連するケースもあります。
たとえば、年末調整。
従業員の所得税を年末調整で処理した結果、一時的にマイナス残高
となる可能性があります。
(マイナス残高の計上は効率化になるか?)
マイナス残高ではあるものの、一時的で翌月に解消が見込まれるのであれば、
やり過ごすことも選択肢です。
源泉所得税での預り金勘定は対税務署に対する債務として、
マイナスの預り金残高を立替金勘定(資産)としても表示できます。
マイナス違い メリハリと優先順位
貸借科目のマイナス残高は通常であれば異常です。
マイナス残高の原因を確認しておく必要があります。
とはいえ、一律に訂正対象とはいえません。
会計処理の一時的な状態であり、表示上の問題であるならば
確認は必要でもやり過ごす選択肢もあります。
会計処理でのメリハリや優先順位をつけることは可能ですが、
理由をわかっていることが前提です。
訂正すべき点を放置すると、問題が先送りされます。
蛇足
アイキャッチ画像は実家で栽培中の「ヤーコン」です。
地中にできるヤーコン(見た目はイモ)の収穫の目印は
花が咲いたかどうかだそうです。
そろそろ収穫時のようですね。
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