決算書は分析よりも作り込みが優先です!
勘定科目内訳明細を把握していますか?
決算書は数字が並ぶので分析に飛びつきやすい印象です。
とはいえ、経営当事者であれば分析以前の段階での
決算書の作り込みが優先です。
見逃している決算関連資料があるかもしれません。
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鉛色の空と雪
勘定科目のなかみ 個人と法人の違い
税務申告のためのセットといえば、決算書と申告書です。
個人事業であれ法人の経営であれ、決算書と申告書のセットが必須
ということに変わりありません。
他方、個人と法人でセットの構成には違いがあります。
個人の所得税は事業所得に限らず他の所得区分も関連するとはいえ、
基本的には第1表と第2表のシンプルな構成です。
法人税は「別表」という構成で申告する事業者ごとに異なり、
作成する申告書は多く複雑になります。
決算書の構成は個人でも法人でも、損益計算書と貸借対照表がセット
ということに違いはありません。
とはいえ、こちらも個人は貸借対照表抜きの白色申告があったり、
法人では株主資本等変動計算書があったりと違いがあります。
個人事業では作成されない「勘定科目内訳明細書」が法人では必要
といった違いは見過ごされがちかもしれません。
勘定科目のなかみ 決算書は税務申告のためだけ?
月ごとでも年ごとでも会計処理の区切りでは「残高」を確認します。
(残高試算表を確認してホッとできるか?)
売上や経費といった損益項目よりも貸借科目を確認して処理を進めます。
月末時点や決算日時点でのあるべきはずの数字(金額)が計上されているはず
という前提があるので確認対象になります。
他方、残高試算表でも決算書でも記載されているのは合計額だけです。
「勘定科目内訳明細書」は文字通り勘定科目の内訳を記載します。
(「勘定科目内訳明細書 国税庁」で検索)
たとえば、売掛金勘定の内訳明細書。
売掛金の期末残高が50万円以上を対象に記載します。
棚卸資産でも同じように内訳書があります。
期末日の棚卸高が決定することで売上原価や売上総利益が決まり、
期末残高は翌期首残高となります。
損益計算とは直接つながらないものの「借入金」も作成対象です。
決算書・申告書は税務申告のためだけに作成する見方は一面的です。
金融機関への融資の申し込みでは決算書・申告書は必須となりますが、
詳細な情報を示す勘定科目内訳明細書も参照されます。
勘定科目のなかみ 分析より作り込み!
個人事業では勘定科目内訳明細書の作成は必須でも要提出でもありません。
法人でも必ずしも決算書や申告書ほど注目されていないかもしれません。
一方、勘定科目内訳明細書は決算時点での経営の状況を反映するので
重要な情報源となります。
決算書を活用するという点では経営分析が注目されますが、
経営当事者であれば内訳を作り込んでの現状の把握が優先です。
経営の課題の整理にも役立つはずです。
蛇足
アイキャッチ画像は除雪で集積した雪山です。
雲も雪も白色の印象がありますが、雪国・石川県では鉛色が定番
と重々しい雰囲気だったりします。
ホイールローダーで積み上げられた雪山の高さは3mほどでした。
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