手形とでんさい 脱ハンコのデジタル化は既成事実

現実は既に変わっています。

手形とでんさい  件数は少ないが、金額が大きい決済

事業でのやりとりでは、決済が重要です。
決済件数の割合では小さいのですが、金額としては目立つものが手形や「でんさい(電子記録債権)」による決済です。
どちらも事業者間での決済手段としてよく知られています。
とくに製造業や設備業などでは定番の決済手段です。
現金や預金とは異なり、お金のやりとりが将来に行われるので、 お金のやりくりを考える上では管理が重要な決済と言えます。

手形とでんさいの違いは、簡潔に表現するとアナログとデジタルの違いということになります。
手形が紙という媒体とハンコでやりとりされるのに対して、でんさいはデジタルのデータとしてやりとりされます。

でんさいが使われるようになったのは、2008年の電子記録債権法成立以降です。

手形とでんさい リモートワークは成立している

コロナウイルス騒動以降、リモートワークが推奨されています。
その一方で、事業体制が整っていないという理由でリモートワークには踏み切れていない状態も明らかになっています。
そうした支障のなかでも、日本的な要因としてハンコ文化がとりあげられています。
事業活動上、紙の書類にハンコを押すことが、リモートワークの支障となっているということです。

取引の都合上、会社の実印を求められる機会は現在でもあります。
たとえば法人の発起人になるときや、銀行からの借り入れ、公正証書の作成などがあります。
事業者側が積極的にハンコを必要としているというよりも、ハンコが必要とされるやりとりでハンコを用いているということです。
手形や小切手といった決済手段でもハンコが必要です。

こうしたハンコが必要なやりとりに対して、組織内部でのやりとりや対外的な取引の大半にはハンコは必要ありません。
仕組みがデジタル化されている「でんさい(電子記録債権)」にもハンコは不要です。

手形とでんさいという同じ決済手段ではありますが、ハンコの必要性に関しては違いがあります。
見方を変えれば、決済でも すでに脱ハンコの状態は実現していると言えます。

手形とでんさい とりひき・やりとりは設定可能

ハンコを実際に必要とされている取引は、事業活動の中では件数としてそれほど多くはありません。
組織内部でのやりとりを明確にすることは必要ですし、責任の所在が残るようにしておくのは事業上のトラブルを回避するという点でも不可欠です。

ただし、そうした仕組みの在り方が紙やハンコでしか成り立たないわけではありません。
でんさいが成立しているのと同じく、ハンコが支障となる事業活動が当たり前というわけではありません。
リモートワークは目新しい新技術の導入の必要性というよりは、現状の障害となる要因を明らかにしていると言えます。

 

蛇足
コロナウイルス騒動でリモートワークが推奨されている最中に、 IT 担当相と「はんこ議連」会長が同一人物というのは興味深いところです。
2020年(令和2年)6月27日追記
上記の担当相兼会長は、会長職は5月上旬に辞任されたそうです。

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