事業所得では、確定申告は年末調整と別物です 

フリーランス・個人事業主の方になったばかりの方へ


似て非なる

確定申告は別物です 所得税のゴールという共通点はあるが

いずれかの組織で仕事をしていると、11~12月に年末調整の書類提出をします。

年末調整の背景には、所得税の精算や適正な課税という大義があります。

といいつつ、当の納税者にとっては12月の給料の上乗せを期待することが現実です。

フリーランス・個人事業主の方は、事業所得が発生します。

事業の決算、そして所得税の申告が必要です。

年末調整と確定申告、所得税の締めのイベントとして共通しています。

明らかな違いは、所得の分類。
年末調整は給与所得、確定申告では事業所得(所得全般)です。

それ以外の年末調整と確定申告での違いが、見過ごしがちです。
違いは、影響範囲です。

確定申告は別物です 所得税だけじゃない

所得税の影響範囲?

申告書をご覧になった方だと、住民税にも所得税が関連することもご存知かもしれません。
(所得税×10%=住民税です)

事業税も関連します。
(290万円の控除があるので、すべての経営者が対象ではありません)

所得税とは直接関連しませんが、消費税の負担も同時に想定することになります。

また、国民健康保険料は所得額に左右されます。
(計算は市区町村ごとに異なります)

給与所得者なら社会保険料でとらえていた保険料も、事業所得者にとっては所得税と関連します。

事業所得での申告では、税金だけでなく社会保険料も影響範囲に入ってきます。

確定申告は別物です 最も大きい違いは時間軸の長さです

フリーランス・個人事業主の事業所得者にとって、所得税の影響範囲が大きいことは上記からもはっきりしています。

国民健康保険料のように、所得税→社会保険料の影響は一見して、年末調整とは異なります。

年末調整と確定申告での最も大きな違いを感じるのは、時間軸の長さです。

年末調整も確定申告も、1年間の所得を対象にしています。

しかし、実態は事業所得者の確定申告での時間軸はもっと長くとらえるべきです。

事業所得者には、退職金はありません。
年金もデフォルトでは、国民年金のみです。

事業所得者には、小規模企業共済やiDeCo(イデコ)や国民年金基金といった手段があります。

いずれも1年間の確定申告でも所得控除の対象になります。

とはいえ、これら手段の利用は本人次第。

現時点での経営状態、直近でのお金のやりくり、将来への措置と確定申告と関連した判断の時間軸は長くなります。

足元(現状)の確認だけでも、将来の期待だけでもバランスのとれた判断には不足です。

確定申告準備の前倒しで、考える時間を作られることがおすすめです。

 

蛇足
自分で好きなように判断できて清々(せいせい)する、と言えるのも事業所得者だからです。

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