事業活動のディフェンス 引当金とは

攻めだけじゃなく守りも大切です。

事業活動のディフェンス やっぱりお金

事業活動の継続には支払いを続ける必要があります。
シンプルな結論ですが、事業活動のディフェンスを考えれば、まずお金が必要です。
現金・預金だけでなく、受取手形・売掛金・在庫商品・固定資産なども換金の可能性からお金と考えることもできます。

事業活動での利益から得られるお金もありますが、借入による調達もまたお金です。
どこから調達したかという視点は、事業の将来活動を検討するうえでは重要です。
しかし、直近の支払いだけを考えれば、まず支払いに必要なお金があるかの方が重要です。

こうした、具体的な目に見えるお金の他にもお金と同じ効果はあります。
会計処理での引当金(ひきあてきん)です。

事業活動のディフェンス 会計的なディフェンスの引当金

事業活動の最強のディフェンス能力をもっているのはお金ですが、会計上のディフェンス手段もあります。
引当金です。

将来の費用や損失を見越してあらかじめ引当金を費用として計上しておくことで、将来の損失に備えるという効果になります。
実際のお金を貯めるというのではなくて、会計上の費用を計上することで結果的に組織内部にお金を貯めておけるので減価償却にも似ています。
(減価償却 試験も実際もひっかけあり)
たとえば、売掛金に対応した貸倒引当金の計上では以下のような処理で費用を計上しますが、お金の流出があるわけではありません。
(借方)貸倒引当金繰入 / (貸方)貸倒引当金

引当金は以下の4つの要件が揃うと計上することができます。
・将来の特定の費用又は損失であること
・その発生が当期以前の事象に起因すること
・発生の可能性が高いこと
・金額を合理的に見積もることができること

会計上は、修繕引当金や返品調整引当金などもあるわけですが、税法との兼ね合いもあり、一般には貸倒引当金がメジャーです。

事業活動のディフェンス 自動的に機能しない理由

減価償却や引当金は、会計上自己金融効果をもつということになっています。
しかし、この自己金融効果を実感する経営者は多くないと思います。
原因は計上している減価償却費や引当金の金額というよりは、お金と会計と税務の情報が混在しているためです。

会計の処理は、通常発生主義で処理されています。
言い換えると、お金の収支と損益計算書や貸借対照表ではズレを感じます。
(発生主義のわかりにくさを理解する)

さらに、日々の経理処理を会計事務所などに委託していると経営状態を把握するタイムラグが生じます。
日々事業活動が進んでいくので、本来であれば現状を確認して 次の手を打っていく必要があります。
過去に計上した引当金の自己金融効果と現状が乖離していては、判断の材料にはなりません。
こうした状況は車の運転に例えると、目前の危機を回避する状況でありながらバックミラーを見てしまうような状況です。 

事業活動のディフェンスは自動的に機能しません。
経理処理をタイムリーに把握できる仕組みがあることで、ディフェンスのときに力を発揮します。

 

蛇足
引当金は費用項目なので、利益とトレードオフの関係(あちらを立てればこちらが立たず)です。 

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