会計の発生主義は生活で実感できます!
請求と複式簿記と立場の入れ替え
会計処理では複式簿記の理解が難しい印象かもしれません。
確かにカンタンとは言えません(笑)。
実務上の難所は複式簿記の運用に関わる発生主義だったりします。
生活の中でか関連させてみると、無理なく理解できるはずです。
発生主義を実感 抽象的すぎるか?
会計処理の知識や理解が不十分だからと言っても、不熱心とは限りません。
必要な資料やデータを揃えて、しっかり集計される方はいらっしゃいます。
一見すると問題はなさそうですが、会計処理が「現金主義」だったりします。
売上の入金をされたときに売上を計上し、支払い時点で経費を計上する
といった処理方法です。
現金主義は、現金の動きと帳簿を連動させる会計処理なので
直感的に理解できる印象があります。
一方、本来の会計処理では「発生主義」が前提となります。
取引が発生した事実をもって、会計処理をする考え方です。
現金の動きと不一致になることもあり、複式簿記の発想とも関連するので
わかりにくい印象かもしれません。
とはいえ、生活の中で発生主義が実感できる場面があります。
発生主義を実感 お会計はお済みですか?
オンライン取引が増えていることもあり、カード決済の機会が増えました。
デビットカードとは異なり、クレジットカードでの取引は、
購入の時点と口座からの支払い時点が異なります。
- 購入時点≠支払時点
購入時点とお金の動きの時間のズレがあるとは言え、
経済取引がある事実には変わりありません。
複式簿記ではこの状況をシンプルに整理できます。
- 購入時点 (借方)経費 (貸方)未払金
- 支払時点 (借方)未払金 (貸方)お金
現金の動きだけを基準に会計処理を行うと考えるのではなく、
- 経費の発生→複式簿記での処理→負債の計上
- 取引の事実を複式簿記でとらえる
と発生主義は理解しやすくなります。
発生主義を実感 立場を入れ替えても成立!
購入する側から取引を発生主義でとらえることもできますが、
立場を入れ替えて売る側からも同じように成立します。
購入者から売る側に視点を変えると、
- 取引による売上の請求→複式簿記→売上計上
- 売上 (借方)売掛金 (貸方)売上
- 回収 (借方)お金 (貸方)売掛金
といった処理となります。
現金主義に比べて発生主義では処理の負担が増えそうですが、
一面的な誤解です。
たとえば、売掛金の回収と管理。
会計ソフトを利用して、複式簿記・発生主義で処理をしていれば、
特定の取引先の売掛金の回収状況を把握しやすくなります。
「発生主義」を特殊な会計処理としてとらえるのではなく、
生活の中で行っている取引として理解することがおすすめです。
手書き・手計算での処理ではなく、会計ソフトの利用が前提でもあります。
抽象的にとらえるよりも、会計処理の実践を通じることで
理解が深まります。
蛇足
残暑続きの2024年(令和6年)の9月も秋らしくなってきました。
日中は陽射しが強いものの、夜になると秋らしさを実感します。
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