申告後はモノ・データ・記憶をセットで残す!
令和6年能登半島地震で奥能登へ
2024年(令和6年)1月1日の「令和6年能登半島地震」発生から
1年半以上が経過しました。
被災地でも平穏な日常生活がみられるとはいうものの、
まだまだ遠い道のりと感じる面もあります。
税務支援の現場で気づいたことを振り返ってみると、
災害とは無関係に確認すべきことがわかります。

いろいろな情報がぎっしり
セットで残す 光景の変化
「令和6年能登半島地震」ではインフラや住宅の被害が甚大でした。
2024年11月・12月、2025年4月と税務支援で奥能登に行った際には、
ブルーシートで屋根を覆った家屋や未撤去の被災住宅が目立ちました。
2025年10月下旬、延長されていた所得税の申告期限延長が終了となるため、
再度奥能登での税務支援業務に参加しました。
前々回・前回と同じく穴水町に行ってみると、
- ブルーシートで覆われた家屋は見られなくなった
- 新築の住宅が見られるようになった
- モデル住宅や内覧会の光景が見られた
といった文字通りの建設的な変化がありました。
一方、町の規模とは不釣り合いなほどの工事現場の拠点があり、
復旧復興が中長期の課題であることもあらためてわかる光景でした。
セットで残す モノ・データ・記憶
税務支援の中心は所得税での「雑損控除」の対応でした。
所得税では所得から差し引く(控除、こうじょ)の一つが「雑損控除」です。
- (所得-所得控除)✕税率=税金
医療費控除や寄附金控除と同じく年末調整では対応できないため、
確定申告で適用する必要があります。
雑損控除は新しい仕組みではありませんが、マイナーな仕組みであり、
来場された相談者にとってとっつきにくい印象だったようです。
- 雑損控除が所得税の仕組みとは知らなかった
- 雑損控除をどのように適用するかわからなかった
致し方ないかもしれません。
税理士であっても、災害被害で雑損控除で申告する機会は
それほど多くありません。
他方、雑損控除に限定されない所得税の申告手続きとして、
- モノ・データ・記憶をセットで保管しておく!
といったことは強調できることがあらためて確認できました。
税務申告では当事者への記憶等のヒアリングも行いますが、
- 申告内容を裏付ける資料
- 源泉徴収票、控除証明書、罹災証明書等
- 過去の申告と比較するための過年度の申告書
- 円滑に電子申告するための「利用者識別番号」
- IDとパスワード
といったモノやデータの確認が欠かせません。
あらかじめ上記を確保した状況で相談会に臨まれているかどうかで、
対応できる内容に違いが出ていました。
セットで残す 日常と非日常の連続
税務申告でモノ・データ・記憶による裏付けが欠かせないことは、
能登半島地震に限りません。
通常の申告でも同じことが言えます。
通常の申告と被災後の申告での違いがあるとすれば、
- 被災後に準備できる選択肢が少なくなる
といったことが強調されます。
災害による被災状況は非日常的ですが、それ以前の日常とつながっています。
被災後の税務支援に従事してみると、できるときにできることをしておく
といったことがあらためて実感できる状況でした。
蛇足
アイキャッチ画像は税務支援の現場で撮影しました。
2025年(令和7年)8月に電子申告用の証明カードは第6世代に移行、
第5世代は暫定的に2026年3月まで利用可能ということでした。
ただし、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が第6世代未対応で
第5世代カードの出番となりました(2025年10月現在)。
手前のお菓子は差し入れでいただいた「舫う(MOYAU)」です。
製造は「木村屋(岩手県陸前高田市)」、販売は「中浦屋(石川県輪島市)」です。
2011年東日本大震災と2024年令和6年能登半島地震での相互支援
といった経緯がお菓子の背後にあるそうです。
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