所得控除はグループ化して乗り切る!
資料・ヒアリングと年末調整・確定申告を整理
「風物詩」が情緒あふれるものばかりとは言えません。
たとえば、「年末調整」や「確定申告」(笑)。
個人の所得税が暦年課税なので秋口以降は目につきます。
定番ではあっても「所得控除」はわかりにくい対象です。
所得控除の整理 位置づけと効果
個人にも法人にも「所得」に税金の負担がかかります。
所得税では、
- 「暦年課税」で課税期間が固定されている
- 「所得控除」で納税者ごとの事情を反映
といった点で法人税と異なります。
毎年秋口から年末調整、年明けから確定申告でざわつく
といった光景がみられるのは制度上仕方ありません。
毎年の定番の手続きなのですんなり済みそうですが、
そうとは限らない現実があります(笑)。
「所得控除」でバタつく方が少なくありません。
所得控除の整理 わかりにくい理由とは?
「所得控除(しょとくこうじょ)」は、
- 所得から差し引く・マイナスする
- 税金の額を下げる効果がある
- (所得-所得控除)✕税率=税金
- 納税者ごとの事情を反映する
といった特徴がわかりにくさとつながっています。
申告書では、左上から下に向かって収入・所得の次に
位置づけられています。
個人事業での事業所得であれば、以下のように見える化できます。
所得控除の位置づけは簡潔です。
一方、所得控除の取り扱いはグッとわかりにくくなります。
所得控除の整理 グループ化で乗り切る!
所得控除の取り扱いは、
- 「年末調整」と「確定申告」で扱いが異なる
- 資料の収集だけにとどまらない
といった点でわかりにくい印象です。
所得控除は「給与所得」での「年末調整」でも扱いますが、
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄附金控除
- ふるさと納税「ワンストップ特例」のみ年調OK
といった控除は「確定申告」でのみ利用できます。
上記以外の控除は年末調整で扱えます。
会計処理であれ、税金の処理であれ根拠・裏付けが必要です。
会計処理であれば、通帳や請求書・領収書等があります。
(会計データは着地点とセットで確認する!)
税金、所得控除でも裏付けは必要ですが、
- 資料として準備する控除(下記赤枠)
- 当事者に確認する控除(下記青枠)
といった違いがあります。
下記は令和6年分の申告書の様式です。
生命保険料控除であれば控除証明書やデータが裏付けです。
他方、配偶者控除や「特定親族特別控除(令和7年新設)」の取り扱いでは
当事者に確認する必要があります。
年末調整で利用する所得控除といっても控除によっては
準備のアプローチが異なります。
年末調整は勤務先に資料やデータを渡すだけの印象ですが、
資料やデータの準備は当事者で管理する必要があります。
年末調整も確定申告も毎年の定番、風物詩ではありますが、
税制度の変更や当事者の事情は変化しています。
とっつきにくい所得控除ですが税負担の軽減につながるので、
早めに準備していくことがおすすめです。
蛇足
確定申告の計算で挫折することは少ないはずです。
「確定申告書等作成コーナー(国税庁)」で計算できますから(笑)。
他方、どこにどんなデータを投入すべきといった判断で
グッと負担を感じるでしょうね。
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