帳簿で過大な現金勘定を放置していませんか?
原因と誤解のない対策とは?
経営当事者が無頓着で悪気がないことでも、
第三者からはため息が漏れることもあります。
身近でわかりやすそうな「現金」も「勘定」が付くと、
扱いに留意することになります。
誤解のない会計処理のおすすめです。
過大な現金勘定 当事者と第三者目線の違い
新規のお客様(見込み)との面談では口頭でのやりとりだけでなく、
決算書・申告書、帳簿の確認もあります。
税務調査とは異なり自主的なお申し出ということもあり(笑)、
スムーズに資料をご提示いただけます。
面談、資料の提示といった展開から判断すると、
悪質な脱税とは縁がないことがわかったりします。
とはいえ、経営当事者と私(税理士)の間で認識の違いがない
とは言えないズレもみられます。
個人事業主の帳簿や決算書では「過大な現金勘定残高」もその一つです。
過大な現金勘定 悪気の無さと無頓着の背景
経営者が決算書を確認するといっても損益計算書が中心で、
貸借対照表は後回し・棚上げされがちです。
といって、貸借対照表の確認が不要なわけでもなければ、
専門知識が必要なほど難解なわけでもありません。
貸借対照表は期末日時点での各勘定科目の残高が記載されています。
預金残高であれば銀行の口座残高と一致します。
売掛金であれば期末日時点での取引先への請求額となります。
固定資産であれば取得価格や未償却残高を表示しています。
では、「現金勘定」残高は?
本来であれば、手元にある現金の金額となるはずです。
手提げ金庫などに保管され、「金種表」で管理されているはずです。
はずです(笑)。
個人事業での決算書の現金残高では現実の手元残高と不一致で
過大な現金勘定残高が放置されていることがあります。
原因は事業と生活・プライベートでのお金のやりとりでの混同にあります。
小規模でも法人の経営であれば、事業とプライベートは分かれます。
一方、個人事業では混同が起きやすい状況があります。t
たとえば、銀行口座から50万円の引き出し。
- (借方)現金 (貸方)普通預金 50万円
現金残高が増加します。
引き出した現金を業務上の支払いにも生活費にも当てる
といったことはあります。
- (借方)消耗品 (貸方)現金 2万円 タブレット
- (借方)事業主貸 (借方)現金 40万円 生活費
上記の仕訳が漏れなく計上・集計されていれば現金残高は8万円
となっているはずです。
しかし、うっかり生活費への支出の計上・集計が漏れると、
「現金勘定」残高は48万円に対して実際には8万円となります。
一見すると、損益計算とは無関係なミスです。
ただし、経営当事者と私(税理士)の間で認識の違いが出る一面です。
過大な現金勘定 誤解を避ける対策
会計処理で避けるべきタブーでは売上の除外と架空経費の計上があります。
過大な現金勘定残高は、意地悪な目線からは現金売上の除外では?
といったツッコミもできそうです。
- (借方)現金 (貸方)売上? 除外した?
経営の管理は経営者目線だけではすまない側面もあります。
個人事業での「現金勘定」残高の管理では、
- 仕事も生活上の支出も網羅して計上する
- 生活上の支出は定期・定額を検討する
- 売上・経費の計上との整合性をとれるようにしておく
- 現金勘定を使わない
といった対策があります。
過大な現金勘定残高は、
- (借方)事業主貸 (借方)現金 ズレている金額
という仕訳で適正な現金の実際残高に一致させることができます。
上記の仕訳はズレの予防と併用してこそ意味があります。
誤解を避ける第三者からの目線も経営の管理には有効です。
蛇足
アイキャッチ画像はコブシの花です。
4月上旬はソメイヨシノの開花が注目されますが、
コブシも見頃を迎えています。
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