確定申告のやり方を教えることはNGか?
親切心のお取り扱いにご注意ください
そんなつもりじゃなかった、ということがあります。
困っている方へ手を差し伸べる親切心はともかく、
結果的に問題をこじらせることもあります。
誤解のない親切心とは?
親切心の取り扱い 困ったときはお互い様?
なんとかかんとか重い課題を解決した後は、
- 得られた知見を活かせないものか?
と建設的な発想を抱きます。
たとえば、確定申告。
税務会計の処理になじみのない方にとって重い課題です。
事業所得であれば、帳簿・決算書・申告書の作成と
慣れない処理と厳然たる申告期限で不安になります。
それでもなんとか申告の処理を済ませてしまうと
達成感があります。
体験を活かしたいという思いに親切心が加わると、
確定申告で四苦八苦している方に手を差し伸べる
といったこともあります。
税理士業で税務相談を受けていると、
- ◯△%#※■と聞いたことがある
といったフレーズを耳にします。
知人や同業者などからの知見を根拠にした税務会計の判断です。
善意や親切心からのアドバイスかもしれませんが、
税務会計での第三者への個別具体的な助言はNGです。
親切心の取り扱い 問題がこじれる理由
税務の問題に税理士以外の方が応えることは無償でも
税理士法違反です。
個別具体性のない応答であれば問題ありません。
- 収入と所得の違いって何?
- 青色申告の特典って何?
- インボイス制度って何? etc
とはいえ、税務会計の理解や知識にムラのある当事者では、
- 一般論と個別具体的な問題
- 制度を適用するための要件や制約
- 税務会計以外の制約や結果
といった検討事項が曖昧な状態になりがちです。
たとえば、白色申告で所得税申告のみをされる方であれば、
帳簿の作成はシンプルです。
設備投資や雇用なければ消費税の申告も不要であれば、
会計ソフトも不要です。
一方、上記の方の体験をもとにアドバイスを受けた方が、
- 融資による借入を計画しており、
- 設備投資の予定があり、
- 売上が上昇傾向
という経営状況であれば助言はかえって足を引っ張ります。
- 青色申告の特典を活かしつつ、
- 消費税の本則課税を検討して、
- 法人成りも視野に入れる
といった選択肢や検討課題が出てきます。
個別具体的な税務会計の課題には、
- 現状への対応だけでない選択
- 複数の選択肢の可能性
- 短期と中長期の影響
と射程を拡げて応える必要があります。
善意や親切心も大切ですが、専門的な知見の裏付けが欠かせません。
親切心の取り扱い 誤解のない協力
困っている方に手を差し伸べることには賛成です。
ただし、税務会計での判断や処理に迂闊に応えてしまうと、
税理士法違反だけでなく、経済的な実害も生じます。
善意や親切心からの助言であれば、
- 根拠のある裏付けを持てる
- 選択の効果や制約も考慮できる
といった適切な相談先の紹介がおすすめです。
この記事をお読みの方であれば特定の税理士が思い浮かぶかもしれません(笑)。
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蛇足
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実家が酪農家だったので、生後間もない子牛と取り違えそうな印象です。
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