役員貸付金と事業主貸は別物です!
サイフを分ける意味と対策

「俺のカネは俺のモノ」でいいはずです。

問題は「俺」が重複している場合です。

目に見えない別人格とのやりとりが課題です。

サイフを分ける カチッとしきれない!?

仕事と生活は人によって程度の差はあっても関連しています。

とりわけ事業主・経営者では密接に関連しています。

巨額の資産やその運用からの収入で生活している場合を除けば、
事業が生活の糧となります。

個人事業主であれ法人の経営者であれ変わりません。

一方で、両者の違いは決算書に現れます。

法人であれば「役員報酬」が損益計算書に計上されますが、
個人事業主の損益計算書には同等の勘定科目は現れません。

個人事業主の生活費を含めたプライベートな支出は
「事業主貸」で計上されます。

「事業主」勘定は事業損益とプライベートを分ける役割の勘定科目です。

一見すると事業主勘定の利用で事業損益とプライベートが分けられます。

他方、事業主貸はプライベート全般に関わる可能性もあります。

カチッとしきれない会計処理の側面があります。

サイフを分ける 役員貸付金と事業主貸の違い

法人であれば社長であっても「役員報酬」が「法人」より支給されます。

役員報酬は損益計算書にも経費として計上されます。

給与と同じく役員報酬も「所得税」の「給与所得控除」が受けられます。

税負担の軽減につながります。

他方、法人といっても個人事業主と同じように扱ってしまう対象もありえます。

その一つが「サイフ」ともいえる事業上の現預金。

本来、法人の現預金は経営者ではなく法人・会社のお金です。

とはいえ、オーナー経営者ではそうした区別が不明瞭になりがちです。

「俺のカネは俺のモノ」といったプライベートでの引出もありえます。

個人事業であれば事業主貸といった事業主勘定で処理しますが、
法人であれば「役員貸付金」となります。

勘定科目の違いだけでなく、

  • 会社が役員にお金を貸し付けているので、
  • 会社にお金を返す必要がある

と個人事業主での事業主貸とは異なる仕組みがあります。

役員貸付金を放置しておくと、

  • 金融機関からの資金管理でのマイナス評価
  • 税務調査で役員賞与と指摘される
  • 事業資金の減少 etc

といった残念な結果が想定されます。

役員貸付金を発生させないことが優先ですが、発生した後のフォローも必要です。

サイフを分ける 解消のタイミングと月次決算

役員貸付金が発生している場合、短期と長期の解消策があります。

長期的な解消策では役員貸付金と役員退職金の相殺があります。

法人と個人間でのお金のやりとりが不要という選択肢ですが、
中長期に渡って役員貸付金が滞留します。

役員貸付金は短期間での解消がおすすめです。

「年」ではなく「月」単位での解消を図ります。

たとえば、役員報酬からの天引きによる返済。

法人だからこそ生じうる役員貸付金を同じく法人だからこそある
役員報酬により解消していきます。

割れ鍋に綴じ蓋の感があります(笑)。

上記は役員貸付金の解消策にはなります。

とはいえ、タイミングの問題があります。

「月」単位での会計処理が遅れがちになっていると解消も遅れます。

「月次決算」は事業経営、とくに損益管理に注目されますが、
役員貸付金などのお金の管理も対象となります。

個人事業とは異なる法人経営だからこそ管理が厳しくなる面があります。

個人と法人のサイフを分けることの理解が必要になります。

 

蛇足
個人事業からの法人成りでは手続き上の問題だけでなく、
個人と法人の違いの浸透も経営者には課題です。
手放しでバラ色の選択はありませんね(笑)。

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