現金主義が売上の管理で残念な理由とは?
売上も貸借対照表で管理する!
どんな業種や業態でも売上の入金は欠かせません。
お金の流れだけを記録していくならシンプルなはずです。
一方で、ギクシャクする結果があるわけで…、
直感だけを先走らせない調整も必要です。
売上の管理 現金商売と現金主義の混同
「現金商売」ということばは経営をしている方以外でも
知られている印象があります。
モノやサービスのやりとりを対面で行い、現金で決済する
とシンプルな取引です。
2024年(令和6年)の令和6年能登半島地震で復旧復興中である
石川県輪島市の「朝市」などの光景と言えます。
一方、現金での決済をしていることで、「ウチは現金主義」
と誤解している事業者も多いようです。
現金での決済と取引を計上する考え方での「現金主義」は異なります。
売上の管理 入金では反映されない取引!?
モノやサービスの取引をすることで、売上の請求を行います。
現金商売だと、取引と決済が同時点と言えるので、
- (借方)お金 (貸方)売上
といった処理で片付きます。
とはいえ、会計処理では、
- (借方)売掛金 (貸方)売上
- (借方)お金 (貸方)売掛金
と発生主義・実現主義が背後にあります。
いずれにせよ、売上による入金があるので同じことでは?
とツッコまれそうです。
シンプルな売上による請求と適切な金額での早期かつ一度での決済完了
であれば、現金主義でも問題なさそうです。
問題は、「であれば」という仮定です。
売上の請求と決済による入金がシンプルとは言い切れません。
- 前受での入金あり
- 売上だけでなく、立替分での請求もあり
- 決済が一度ではなく、分割による
- 決済が現金・預金だけでなく、手形・でんさいによる etc
現金・預金の入金額だけからは、上記の取引はわかりません。
むしろ、誤った記帳や請求後の管理が非効率になります。
売上の管理 貸借対照表でも管理!
「現金主義」の発想では、
- 取引記録は損益計算だけにとどめたい!
という隠れた欲求があります(たぶん)。
- 貸借対照表はみたくない!
とも言えます(よね?)。
損益計算だけでなく、貸借対照表が加わると複式簿記の処理となり、
一見すると負担が大きくなります。
印象としては否定できませんが、実態は異なります。
売上取引に貸借対照表の勘定科目が加わることで、
- 売掛金‐請求金額の発生と消滅
- 立替金・預り金‐請求金額ではあるが、売上とは分離
- 受取手形・電子記録債権‐売掛金と決済の管理
といった取引の実態を反映できる処理が可能となります。
現実の取引や決済はシンプルで直感的なやりとりだけではありません。
取引の内容や取引先とのやりとりを反映させる必要があります。
入金額だけを計上の材料とするシンプルで直感的な発想は、
かえって実態がわかりにくく、誤解を生じるかもしれません。
わかりやすそうな売上の計上であっても損益計算だけでなく、
貸借対照表での管理が有効となります。
直感やシンプルだけが魅力とは限りませんね。
蛇足
アイキャッチ画像はみそまんじゅう(みそまんじゅう本舗・竹内、石川県七尾市)。
石川県では定番のCMソングとセットで知られています。
合併前の町名である「田鶴浜」が歌詞に入っているので、
時代の流れを感じます。
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