経費と控除の見分け方とは?
どこから何を差し引くのか?
初歩的な問題のはずですが、サクッと答えられますか?
ポイントは以下のとおりです。
- 個別の対象が経費と控除どちらか覚えるのではなく、
- どこから何を差し引くのか?
もうちょっとことばを補います。
経費と控除 準備でつまづく!?
確定申告の処理や手続きが楽しみという方は少数派です。
医療費控除での還付が期待できて申告する方や
申告の依頼が収入になる税理士は例外です(笑)。
面倒な印象の確定申告では資料の準備から始めると
後々のつまづきを防げます。
医療費控除を利用するのであれば、医療費の領収書などを
あらかじめ集計しておきます。
事業経営をしているのであれば、経費の領収書なども
整理しておくと処理がスムーズに進みます。
とサラッと書いてみましたが、
- 「経費」と「控除(こうじょ)」の違いって何?
というツッコミどころがあります。
準備の段階でつまづくと後が続きません。
経費と控除 どこから何を差し引く?
「経費」の対象も「控除」の対象も数え切れないほどあります。
個別に経費と控除を一から覚えていこうとするとゲンナリします。
ザックリ分けると以下のとおりです。
- 経費‐売上に対応する
- 控除‐所得に対応する
まずは「経費」をパネル図でとらえます。
経費が出てくるのは、「会計」の段階です。
事業経営でいえば経費には売上が対応します。
- 売上 ⇔ 経費
- 売上-経費=利益
経費は総称で、売上原価や消耗品費・支払手数料・水道光熱費、
減価償却費などが含まれます。
次に「控除」をパネル図で確認します。
控除は所得税の「税金」の計算段階で登場します。
- 所得 ⇔ 所得控除
- 所得-所得控除=課税所得
経費と控除の違いは以上のとおりですが、つながりが肝心です。
会計と税金の計算は、会計→税金の順で計算します。
パネル図でつながりをみておきます。
会計で計算された利益が事業所得として税金の計算に
つながっていきます。
所得税の計算では事業所得以外の所得も合算します。
控除は合算された所得に対応して差し引くことになります。
控除には医療費控除や扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除など
所得をマイナスする対象が含まれます。
経費と控除 結果は一緒!?は誤解
経費も控除も差し引くという点では共通しています。
売上をスタート、課税所得をゴールととらえると、
経費と控除は差し引く順序の違いにみえます。
これは誤解です。
経費と控除の混同をすると、会計・税金の計算が不適切になります。
医療費控除分を経費としてしまうと、事業にプライベートが入り込みます。
事業と無関係な分の架空の経費になってしまいます。
事業に関連した保険をうっかり控除と誤解すると、
経費が過小になるだけでなく、控除もズレてしまいます。
経費と控除の具体的な分類は最終的に必要ですが、
準備段階ではザックリした理解がおすすめです。
つまづきがないとわかれば、先送りせずにすみます。
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蛇足
事業での銀行からの「借入」にたいする「返済」は
経費か控除か?という問題もあります。
正解はどちらでもありません(笑)。
借入は売上にならないので、返済が経費にならないわけです。
借入・返済が事業(会計)の段階の話なので、
税金の控除にはつながりません。
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