支配力の正体 士業の破産と対策

わかっていたはずですが。

支配力の正体 とある法律事務所の破産

士業(シギョウ)というと、税理士・会計士・社労士・司法書士・弁護士などが一般的に知られています。
国家資格かつ法律で規制された独占業務を行っているお堅い仕事のイメージです。

お堅いイメージには、法律にもとづく書類の堅苦しさと、士業の経営の手堅さが重なっているかもしれません。
大儲けや一攫千金ではないけれど、長期的には割の良い仕事の印象だと思います。
(内実は各士業や、同士業でも千差万別ですが)
言い換えれば、経営の破綻や破産と縁遠い事業と思われています。

こうした通俗的な印象は、半分アタリ半分ハズレです。
税理士業では、いわゆる「2世」や「3世」の税理士の方も多くみられます。
(3世代同居型!や隔世型(おじいさん税理士と孫税理士)というケースもあります)
後継者の存在を期待できるほどの魅力があるというアタリの印象です。
その一方で、独立開業したが、その後事情により別の税理士事務所に所属するケースもあります。
つまり、経営が必ずしも円滑ではないハズレもあるというわけです。

先日、大手の法律事務所(弁護士法人)がしました破産。
法律事務所の破産と負債総額が52億円という巨額であることが注目されました。
破産の背景には、この事務所を実質的に支配していた広告会社による資金の流用があったようです。

支配力の正体 支配の対象は営業

「実質的に支配していた」という実態は、士業では違和感を感じさせる破産の原因です。
弁護士法人だけでなく、士業を経営できるのは資格者に限られます。
言い換えれば、資本力があっても士業はできないということです。

今回の法律事務所の破産では、強い支配力をもっていた広告会社が法律事務所の資金を流用していたとされています。
つまり、「実質的に支配していた」とは事務所経営に関わる営業力による力関係だったといえます。

今回の破産では、広告会社による営業力は全国的なコマーシャルだけではなく、事務所の運営(オペレーション)にも及んでいました。
営業力というと、狭い意味では売上との関連が注目されがちです。
しかし、営業力を広い意味でお金をまわす決定権の行使ととらえると、事務所の運営という費用にも関連します。
売上があっても、外注やアウトソーシングに多額の費用がかかっているなら、営業力は低下します。

今回の法律事務所の破産では、広告会社が売上(コマーシャル)と費用(事務所の運営)の両面で法律事務所のお金をまわす決定力を実質的にもっていたこと(=支配していたこと)が原因といえるわけです。

支配力の正体 売上と費用、お金

支配力や営業力ということばは、よく使うことばですが抽象的で曖昧です。

営業力=売上という狭い意味でさえも、売上が数量×単価であり、販売の方法や場所(チャネル)等々詳細に分かれます。

お金を使うことも営業力に含めれば、費用の削減や縮小も営業力の差につながります。

さらに、経営を持続させるためのお金の管理(調達・留保・投資・支出)も広い意味での営業力といえます。

今回の法律事務所の破産では、売上・費用・お金の管理をどれだけ行使できるかが営業力の行使、支配力だったということがわかります。

 

蛇足
青いかなーと思っていた隣の芝生を、対岸の火事だなと割り切るのは鈍感でしょうね。

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