ミニマムな決算書作成の利点と限界とは?
経営者の負担を減らす射程距離は?
必要最低限さえクリアすればOK!、という発想は
効率的かつ功利的です。
私の普段の生活に通じる発想かもしれません(笑)。
事業経営の決算書の作成でも魅力的な発想ですが、
限界も確認しておくことがおすすめです。

雪の帽子つき
ミニマム 不要な記載箇所もみえてくる!?
事業経営を開始したばかりの経営者にとって「確定申告」は
気の重くなるイベントです。
しっかりした決算・申告の必要性を感じてはいるものの、
知識や経験の不足で対応が後手に回りがちになります。
「ゴールから逆算」の発想は決算書の作成にも当てはまります。
(税務会計のゴールは期限✕様式でとらえる!)
白色申告でも青色申告でも該当する決算書を確認すれば、
- どんな記載項目があるのか
- どのような裏付けの資料・データが必要か
といったことがはっきりします。
あるいは、不要な記載箇所もみえてきます。
ミニマム 利点と限界
私は税理士業を営んでいるので確定申告の決算書を作成しますが、
「売上原価」はありません。
棚卸資産(在庫)もありません。
サービスは提供していますが、モノの販売がないからです。
当然ですが、決算書にも記載することがないわけです。
事業経営の内容次第で決算書に記載不要な項目があります。
- 固定資産
- 借入金
- 製造原価
- 給料賃金や専従者給与等 etc
売上や事業経費、事業所得の適切な計上は決算書には必須ですが、
必要最低限のミニマムな記載で乗り切ることもできます。
期ズレや発生主義・実現主義といった課題はあるものの、
ちょっとホッと一安心かもしれません。
他方、ミニマムな決算書の作成には限界もあります。
ミニマム 将来の負担とは?
ミニマムな決算書の作成は経営者の短期的な負担減になります。
損益計算書など税務申告に必要な最小限の記載事項に絞れば、
複式簿記や会計ソフトの運用は不要でもあります。
反面、ミニマムな決算書では将来の負担には対応しづらい面があります。
たとえば、事業の拡大のための融資の申し込み。
資産や負債を一覧できるはずの貸借対照表がミニマムな決算では
作成が追いつきません。
税務調査での経営状況の説明でも対応が後手に回ります。
ミニマムな決算書の作成は直近の負担はやり過ごせても、
将来の負担までは片付けられません。
決算書の作成を事業経営のなかでどのように位置づけるか?
といった経営判断が要確認です。
当期だけでなく、直近の将来まで含めた決算書の作成方針が
経営者の負担減につながります。
蛇足
アイキャッチ画像は外出二撮影した雪と縁石です。
2025年(令和7年)12月下旬の石川県は雪に覆われました。
とはいえ、大した積雪ではなく風情が感じられるほどです。
縁石に積もった雪が「笠地蔵」のようです。
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