相続税をストレートに返答できない理由とは?
相続税は2回計算する!?
「税金」と「計算」のことばが並んでいると、
「わかりにくい」が連想されます(笑)。
相続税は相続財産への税金でわかりやすそうですが、
一筋縄ではいかない仕組みがあります。
ザックリ構造をとらえておくことがおすすめです。
相続税の構造 金額がピンボケ?
税理士は申告する税金の申告書も計算も扱っています。
所得税・法人税・消費税・相続税の申告納税方式の共通点です。
税理士に依頼すれば、サクッと税額がわかるハズ
という印象かもしれません。
残念ながら、ご期待に添えないこともあります。
たとえば、記帳がまったくされていない状態では、
事業での所得税や法人税、消費税は返答できません。
あるいは、相続税。
ザックリ税金はいくらくらいか?と尋ねられても、
うかつに返答できない仕組みがあります。
相続税の構造 計算は2回!?
日本の相続税は「遺産取得課税方式」の仕組みです。
相続人が取得した財産に応じて相続税を負担します。
アメリカなどの被相続人が税負担をする「遺産課税方式」
とは異なります。
相続人が取得した財産に応じて納税するので、
- 財産の相続税評価額
- 取得財産
といった対象が判明すれば計算できそうです。
他方で、実際の相続税計算は込み入っています。
- 相続財産から債務控除などで正味の財産を算出後、
- 小規模宅地の特例、基礎控除も反映させる
- 「法定相続」により相続税の総額を計算してから、
- 実際の相続割合に応じた各相続人の税額を算出する
- 配偶者の税負担軽減を反映させる
直感的には1→3のストレートな構造がわかりやすいのですが、
2の法定相続を反映して相続税の総額を計算する仕組みです。
税率は累進税率が適用されるので、やはり込み入っています。
相続税の計算では、複式簿記や会計ソフトの出番はありませんが、
遺産取得課税方式に法定相続分課税が組み込まれている仕組みがあります。
取得する財産やその評価額だけに焦点を当てていても、
相続税負担のピントは定まりません。
相続税の構造 分割協議の成立で左右される!
相続税の計算の仕組みでは、相続人間での分割協議が重要です。
税負担の軽減になる小規模宅地の特例や配偶者の税負担軽減は、
分割協議の成立が条件となります。
相続人全員の同意を書面にした分割協議書を申告書に添付することで、
税負担の軽減が達成できます。
相続税の申告は相続開始から10か月と所得税・法人税・消費税よりも
時間の余裕がある印象かもしれません。
相続税の申告手続きに直面すると、
- 財産や債務の確認
- 評価額の確定
- 相続後の財産の管理
- 相続後の生活 etc
といった検討を相続人が各々進めることになります。
各相続人の検討を踏まえての分割協議となります。
申告期限までに検討や準備することが想定以上にある
かもしれません。
相続税申告を経験の蓄積で円滑に済ませることは困難です。
税理士への依頼を含めて早めの対応がおすすめとなります。
蛇足
カンタンな税務申告はありません。
反面、申告課税は納税者に有利な選択を積極的に採れます。
プラス面を大切にしていただくと前向きになれますね。
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