収入と所得の違いをご存知ですか?
手取り額を使わない理由とは?
日常的に使うことばで実感があるはずなのに、
税金を間に挟むと理解が怪しくなります。
ことばの意味と違いを知っておくと誤解や
不安が解消できます。
収入と所得 所得税は法人税よりややこしい!?
「国民の義務」や「公平・中立・簡素」といえば何を連想しますか?
正解は「税金」です。
前の文章をローマ字入力して変換した際に「正解」が
「政界」と表示されたのは皮肉でした(笑)。
2024年(令和6年)の確定申告期や6月からの「定額減税」では、
「義務」・「公平」・「簡素」と縁遠い状況です。
税金は一般に難しくて扱いにくい印象があります。
残念ながら、大当たりです(笑)。
所得税は納税義務者が多いにも関わらず、ややこしい仕組みです。
些末でマイナーな仕組みではなく、初歩的な段階から理解されてません。
類似ている法人税がかえってスッキリしているようにも思えます。
収入と所得 区分と計算の違い
所得税のややこしさの原因の一つには「所得区分」があります。
所得税では、
- 利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑
と所得を区分しています。
法人税も所得税と同じく国税・直接税ですが、「所得区分」がありません。
所得税では区分ごとに「収入」から「所得」を算出した後で、
「所得控除」によるマイナスを経て税額を算出します。
- 収入→所得
- (所得-所得控除)✕税率=所得税
区分ごとの「収入」から「所得」の算出の違いがわからないと、
負担する税金がさらに理不尽にみえるかもしれません。
所得区分の一部を取り上げてみます。
「事業所得」は事業の成果に対する所得です。
- 収入-経費=利益≒所得
比較的わかりやすいかもしれません。
とはいえ、上記の式は白色申告と青色申告で違いがあり、
青色申告でも簡易簿記と複式簿記で差異が生じます。
- 白色申告:利益=所得
- 青色申告(簡易簿記):利益ー特別控除10万円=所得
- 青色申告(複式簿記):利益-特別控除65万円=所得
「給与所得」は事業所得のような自己申告での経費はありませんが、
「給与所得控除」があります。
- 給与収入-給与所得控除=給与所得
収入に応じた給与所得控除となります。
通常の給与所得控除とは別に「特定支出控除」といった仕組みもあります。
生命保険の一時金や公営ギャンブルでの収入は「一時所得」です。
- 収入-支出額-特別控除額50万円=所得
- 所得✕1/2=課税所得
税負担が軽減される仕組みではあるものの、込み入っています。
年金といえば「雑所得」ですが、公的年金と個人年金では
所得の算出過程が異なります。
- 公的年金:収入-公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
- 個人年金:収入金額 - 必要経費 = 個人年金の雑所得
上記の事業・給与・一時・雑所得は「総合課税」により課税されますが、
合算に至る仕組みが異なります。
区分の異なる収入がある場合には所得ごとの計算の違いがあります。
税負担に影響することを知っておくと誤解がありません。
収入と所得 手取り額を使わない理由
日常的に使うことばに「手取り額」があります。
給与「収入」から税金や社会保険分を天引きした後の金額です。
- 給与収入-(税金+社会保険)=手取り額=可処分所得
難解な式ではありません。
反面、手取り額や可処分所得といった表現は、
- 給与収入
- 給与所得控除
- 所得控除
といった所得税の計算構造が抜け落ちたとらえ方です。
確定申告の税務相談では給与の収入と手取り額とのつながりで
混乱される方がみられます。
所得税の計算の仕組みをベースに追いかけてみることがおすすめです。
日常生活でわかりやすいことばが税金の仕組みの理解の邪魔になる
といったこともあります。
蛇足
アイキャッチ画像はいただき物の「みそまん」です。
石川県にも「みそまんじゅう(みそまんじゅう本舗竹内・七尾市)」があり、
似ているけど違う味が楽しめました。
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