消費税インボイス制度のチェックシートの読み方と使い方
「わかりやすいはず」と「わかりやすい」には裂け目があります。
ちょっとした橋渡しが役に立ちます。
目次
インボイスチェックシート コミュニケーションがギクシャク
仕事をスムーズに進めるためにコミュニケーションが必要
という点では全会一致だと思います。
いわゆる「報告・連絡・相談」が必要とされる所以です。
組織の内部、上司と部下・同僚間であればコミニュケーション手段も
選択の余地があります。
一方、コミュニケーションに組織や時間の隔たりのある場合、
- テキスト・文書でのコミュニケーションが中心になる
といった特徴があります。
たとえば、税金の取り扱いでの税務署と納税者。
文書や書類を通じてのやりとりが核となります。
当局も誤解やトラブル回避、効率な運営のため、
わかりやすい資料を準備しているはずです。
見逃せない点は、「準備しているはず」。
資料を提供する当局と受け取る側との間にズレがあります。
言い換えると、コミュニケーションがギクシャクするわけです。
消費税のインボイス制度のチェックシートでも
そうしたギクシャクがみられます。
インボイスチェックシート 橋渡しには翻訳
「わかりやすいはず」の資料を作成・提供した側からは、
- 読めばわかる
という気持ちが前面にでます。
読み手側が困る・戸惑うのは、
- 「わからない」がわからない
と無限ループにはまってしまうことです。
一見わかりやすそうな資料でも、橋渡し役が効果を発揮します。
2023年(令和5年)10月からスタートする消費税のインボイス制度
でも同じことが言えます。
国税庁の用意したチェックシート
- 「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」
はA4で4枚とシンプルです。
とはいえ、読み方や使い方を補う余地があります。
1ページ目
チェックシートで取り扱う内容が示されています。
- インボイス発行事業者の登録を受けるかどうか?
- インボイス発行事業者の登録を受ける準備
チェックシートの対象者が
- 法人・個人
- 事業規模
- 消費税の課税事業者
- 消費税の免税事業者
といった区別をしていません。
全ての事業者を対象にしているといえます。
2ページ目
チェックする中心の項目は下記の通りです。
- インボイス発行事業者になる必要があるか?
- 登録後には消費税納税の負担が続く
上記の内容にことばを補うと、
- 現在は消費税の免税事業者への質問
と強調することもできます。
現在課税事業者である取引先にとってインボイスが受け取れるかどうかは、
消費税の納税額を左右します。
課税事業者にとっては、免税事業者がインボイスを発行してくれるか
といった点に関心が集中するわけです。
免税事業者が2ページ目を読む際には、
- 売上の取引先
とのインボイス制度スタート以降のやりとりを想定することになります。
4ページ目
あれっ!?、3ページ目は?、と思われるかもしれません。
2ページ目でチェックシートの中心的な関心事が免税事業者にある
ということがわかります。
上記の前提に立つと、
- 3・4ページ目は免税事業者の視点から読む
ことを優先します。
4ページ目の「買手」は、
- 現状免税事業者の下請事業者
と読み替えると見通しが良くなります。
免税事業者はインボイス発行事業者となると消費税の納税負担が生じます。
「簡易課税制度」を利用すれば、
- 事務コスト
- 納税負担
が軽減できる可能性があります。
とはいえ、納税負担が軽減できるかどうかは一概には言えません。
チェックシートで「確認しましょう」という内容は、
- これまでの取引をもとに税額のシミュレーションをする
と読むことができます。
3ページ目
免税事業者がインボイス発行事業者となると消費税の税負担が増えます。
取引先との取引価格の検討がインデックス登録とつながる余地がある
ということになります。
チェックシートは、実質的にはわずか3枚で構成されていますが、
即答は難しいかもしれません。
インボイスチェックシート 年内からご準備を!
チェックシートを免税事業者の立場から検討すると、
問いが多いわけではありません。
反面、根拠をはっきりさせて即答できるとは言い難い印象です。
インボイス登録の締め切りは「令和5年3月31日」とされています。
検討をする時間はあります。
ただし、令和4年分の確定申告も同時期に締め切りを迎えます。
インボイス登録の検討や準備は年内令和4年からがおすすめです。
蛇足
読み替えたり、ことばを補うといった橋渡し役は
見通しを良くするために期待する存在です。
専門家、税理士にとってもです(笑)。
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